コンサルティング事業 2019.11.12

デス・ストランディングから学ぶ「コミュニケーション設計」の在り方

日々新しいことや技術の変遷にキャッチアップする必要のあるWEB業界ですが、たまにはその歩みを緩めて少し未来を感じるゲームから次のコミュニケーションを学んでみませんか?

コミュニケーション設計とは

WEBサービスの課題解決に向けて様々な調査・検討を行うことがあります。その中でも重要なことの一つとして「コミュニケーション設計」が挙げられます。

コミュニケーション設計とは、WEBサービスとユーザーあるいはサービスを利用するユーザー間で、認識の齟齬なく意思伝達可能な仕様をデザインすることを指します。(仕様と曖昧にしたのは、ユーザーがサイトデザインやコピー、体験から受け取る印象のデザインもこれに含まれるからです)

コミュニケーション設計の変更による”良い”波及効果を狙う上で、WEBサービスとユーザー(あるいは、ユーザー間)のコミュニケーションをいかにユーザー体験を損なうことなく、「繋いで」あげるということは、非常に困難ですが達成した際のリターンも高いものとなります。

今回のお話し

業務でもそれ以外でも、私がUI/UXやコミュニケーション設計を検討する上で参考にしているものの一つとして「ゲーム」があります。「ゲーム」が持つコミュニケーション、UI/UXから何か吸収することができることはないかという観点で日々ゲームをプレイしています。(何も考えず、赴くままに「遊ぶ」こともまた重要です)

今回紹介させていただくのは、2019年11月8日発売、全世界待望の「DEATH STRANDING(デス・ストランディング)」です。(以後、デスストと呼びます)

今回は、ゲーム内容は実際にご自身でプレイし、涙ながらに体験していただくとして、冒頭にも記載した「コミュニケーション設計」という観点で十数時間プレイした私が感じるデスストが、いかに学ぶべき点が多いものなのかというところに触れていきます。

デス・ストランディングについて

本作は、全世界のゲーマーが愛して止まない「MGS(メタルギアソリッド)」シリーズ生みの親である小島監督が独立後、4年弱の歳月をかけて監督自身の「絆」や「繋がり」を持って新たに生み出された「繋がりを紡いでいく(ストランディング)ゲーム」です。もちろん豪華俳優・声優陣やベリーイージーモードなどゲーマでなくとも繊細かつ骨太なストーリー展開を楽しめる作品となっております。

デスストにおける間接的なコミュニケーション設計

本作の特徴は、話せばキリがないですが、意図的な「コミュニケーション設計」です。

その前に、改めて「コミュニケーション」という言葉を紐解いてみると、

一般に「コミュニケーション」というのは、情報の伝達だけが起きれば充分に成立したとは見なされておらず、人間と人間の間で、《意志の疎通》が行われたり、《心や気持ちの通い合い》が行われたり、《互いに理解し合う》ことが起きて、はじめてコミュニケーションが成立した、といった説明を補っているものもある。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

つまり、コミュニケーション=双方向性の意思伝達ということです。留意したい点は、「直接/間接」といった方法は問わず、双方向性のものであるという点です。

これまでのオンライン要素のあるゲームを振り返ってみると、「直接」的なコミュニケーションが多くを占めます。つまり、プレイヤー同士がお互いを認識し、なにかしらのアクションを行うということです。

確かに、「ストリートファイター」や「スプラトゥーン」などの格闘/シューティングゲームなどは、相手や相手の行動を意識するという意味でも「直接」的なコミュニケーションのスタイルが取られています。これは、WEBサービスにおいてもTwitter、Facebook、TikTokなどに代表されるSNSも「直接」的なものですよね。

ぱっと思いつくだけでも、日々触れる物事の「コミュニケーション設計」は、往々にして「直接」的に人々の「想い」が双方向性に伝達されるものが多くを占めています。

では、一体「デススト」ではどのような「コミュニケーション設計」がなされているのでしょうか。その答えは「間接」的なそれです。

デスストでは、プレイヤーが動かすキャラクター以外に、他プレイヤーの痕跡が自分自身のフィールドに出現します。それらは、便利道具の一つである「梯子」であったり、注意喚起の「看板」であり、はたまた人々が踏み固めたであろう「道」であったりするのです。

これらの点がどういう意味で「間接」的かというと、あくまで「他人」を認識することなく、「他人の行動」のみを認識できるという点です。具体的な相手が見えない分、この行動は何を持って行ったのだろうかと推量するしかできないのです。

この「間接」的な「コミュニケーション設計」を解釈すると、自分が目的を達成するために行った行為(=利己的な行為)が回りまわって他人の目的達成の一つの要因(=利他的な効果)となりうるのです。つまり、利己的な行為が、利他的な波及効果を「紡ぎ」、その連鎖がMEME(文化的遺伝子)を生むのです。(詳細は、MGS並びに小島監督の著作を読んでみてください)

一枚の壁を挟んでお互いを想いやる緩い「繋がり」こそが、デスストのもつ「間接」的な「コミュニケーション設計」だろうと解釈します。

これって、すごく良く出来ていると思いませんか??

「直接」的な双方向性コミュニケーションの行き過ぎが、昨今の炎上事件やフェイクニュースに安易に飛びついてしまったりなど、相手を慮ることを少し忘れてしまっているのかもと思ったり、思わなかったりします。精神的な距離を近づけやすい今だからこそ、少し相手を慮ることを意識してみてもいいかもしれません。小島監督が、本作でプレイヤーに投げかけてくれる「ストランディング」が1mmでも理解できたのではないかなと思っています。

デスストをプレイしてWEBサービスで意識すること

デスストをプレイしつつWEBサービスに思いを馳せると、ユーザーとユーザーの間に存在する「WEBサービス」が、ユーザーとユーザーを正しく「橋渡し」ができているのだろうかということを考えさせられます。

一部のユーザーの便益のみを追求していないか。ユーザーの想いを汲み取れていない表現になってはいないか。

もちろん、全てのユーザーの満足度を最大化することは非常に難しいことですが、ユーザーと「WEBサービス」とのコミュニケーションに齟齬がなく、ユーザーとの「繋がり」を試行錯誤しながらも念頭に置き続ける必要性があるなと。

何はともあれ、発売から十数時間程度のプレイでここまで感情を揺さぶられ、考えさせせられるゲームを生み出してくれた小島監督に感謝し、デスストがまだ見ぬ(未プレイ)の人々に対して「繋がり」を作ってくれることがとても「良いセンスだ」と感じます。

終わりに

最近ゲームしていない人や、ゲームが得意でない人、UI/UXを勉強している人は、これを機にデスストをプレイしてみませんか?

最近個人的に感じるのは、一年後のiPhoneやWEBサービスの「トレンド」を追いかけることも大事だが、それと同じくSF作品から数十年先の「パラダイム」を感じて「今」に適用していくことも非常に重要なことだなと思います。

これからも「繋がる」コミュニケーション設計を行うために最後にこの言葉を引用します。

TOMORROW IS IN YOUR HANDS

それでは、また次のお話しで。

▽引用

DEATH STRANDING

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