SharingKyoto 事業 2019.11.07

【インタビュー】Vol.6 村岸 秀和 さま(京都ビアラボオーナー)

京都やインバウンドで活躍されている方にインタビューした内容をご紹介するこのコーナー。今回お話を伺ったのは、七条木屋町にある人気のブリューパブ「KYOTO BEER LAB 京都ビアラボ」のオーナーを務める村岸 秀和(むらぎし・ひでかず)さまです。今回のインタビューを通じて、京都ビアラボの人気の理由や、村岸さんがお仕事で大切にされていることについて、お伺いしていきたいと思います!

<今回の話し手のプロフィール>

■ 村岸 秀和(むらぎし・ひでかず)

同志社大学法学部卒。財務コンサルタント・会計監査に従事した後に独立。2008年京都にて古民家再生・空き家活用を中心としたNPO法人を設立。地域活性事業として携わったビール作りをきっかけにクラフトビール業界へ。2018年3月七条木屋町にブリューパブ「KYOTO BEER LAB 京都ビアラボ」をオープン。趣味はカヌーと三味線。

■ KYOTO BEER LAB 京都ビアラボ

http://kyotobeerlab.jp/
2018年3月オープン、京阪七条駅から徒歩3分の高瀬川沿いにあるブリューパブ。ビール醸造所を併設し、和束町で生産された茶葉を使った「和束茶ビール」など、こだわりの材料を用いた個性的なクラフトビールが楽しめる。その人気は日本人だけではなく外国人にも及び、世界中からのクラフトビールファンが集う。

 

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まずは村岸さんにこれまでの経歴や、「京都ビアラボ」をオープンされた経緯についてお伺いしました。

──これまでの村岸さんの経歴を簡単に教えてください。

大学を出たのですが、卒業してから1年くらいアルバイトをしていた期間がありました。みんなが大学3年で就職活動をしているときに、僕はバイトの面接に行っていたりして、就職する気が全然ありませんでした(笑)

特にしたいことがあって就職していなかったというよりは、まだやりたいことがぼんやりしていて、就職する気になれなかったんです。それで1年くらいしてから、会計事務所に就職して。法人監査や決算などをいくつかの会社で合計5年くらいやっていました。

──なぜ会計事務所を選ばれたのですか?

当時飲食店でバイトしていて、いくつか知り合いのお店を手伝ったりしている中で、自分で事業したり会社を作ろうと思っていたので、会計事務所なら、会計や財務の勉強もできるし、特に経営者の人と直接仕事でお話しできるので、勉強になるかなと考えたんです。

税理士資格も合わせて取ろうかなと考えて、勉強はしていました。結局取ってはいないんですけど・・・。5科目中3科目はきちんと受けて、でも力尽きましたね(笑)

そこで働いてから5年後には独立して、税理士法人に勤めていたときの顧問先のお仕事をいくつか手伝う形で2年間仕事していました。その間に古民家活用や空き家再生のNPO法人を立ち上げたり、29歳頃には雑貨屋をオープンしたり、不動産関係の会社も作りましたね。20代後半のころは自分の起業ブームだった時期ですね(笑)

──NPO法人を作った理由は何ですか?

大学のときに下宿先のすぐ近くに大工さんの工場があって、その方が面白かったのでよく遊びに行っていたんです。彼が現場のないときや休みのときには、仕事ではないのですが、仕事仲間と空き家や町家を再生されていて。それを手伝う時期が2,3年くらいあったんです。

もともと僕は何かを作ったり、大工仕事が好きで。祖父も職人でしたし、小さいときからそういうことも好きだったので、大学のときには自然とその活動を手伝うようになっていました。

就職後しばらくは離れていましたが、その大工さんとの交流は続いてて、でもある時その大工さんが活動をやめられることになったので、何人か知り合いを集めて、その活動を引き継ぐ形でNPOにしました。改修予算がなかったり活用が難しい本当に古い家が中心なので、ボランティアで参加してくれるメンバー中心に大工さんに指導してもらいながら一緒に活動していましたね。

──その後は何をされていたんですか?

NPOは続けながらゲストハウスやシェアハウスをつくったり、雑貨屋もその頃にオープンしましたし、不動産関係の会社も作りました。20代後半でいろんな事業を始めましたね。

──その当時は、まだ京都にゲストハウスがあまり多くないころでしたね。

今でこそ、ゲストハウスは数年前の大ブームの時もそうですが、町家を改修して1棟貸しで旅行者に使ってもらえるようになりましたが、当時はそういう使い方はほぼなかったですね。モデルケースも少ない状況だったので手探りで一軒づつ立ち上げていました。改修だけでなくゲストハウスが完成してからの運営もノウハウがないですし、今のように管理会社とかも皆無だったので、最初のころは本当にイチから考えていましたね。

──京都市だけではなく、和束町でも活動されていましたね。

NPOの活動は京都市内を中心にやっているうちに、山間地域や過疎化が進んでいる地域からも空き家活用の相談をもらうようになって、その地域に合った空き家の再生活動を始めたのですが、そのうちの一つが和束町でした。

──そこではどのようなことをされていましたか?

今から10年前くらいですね、お茶作りの作業を手伝うアルバイトさんが泊まるためのシェアハウスを作ったり、茶畑がきれいな場所にある空き家を使ってイベントスペースを作って、そこで定期的にイベントを開催したり。そういうことを何年かかけてずっとやってきていました。

基本的には空き家の活用をしていたのですが、このプロジェクトを一緒にやってるメンバーの中に、アーティストやものづくりをしている人もたくさんいたので、空き家以外にも色々な方面で地域を活性化するための活動ができるのではないかと思うようになりました。それで僕には何ができるか、ということで和束町の茶葉を使ったビール作りを始めることにしたんです。

──ビール作りはもともとされていたんですよね。

はい。今回はビールの中に茶葉を入れて、お茶の風味をつけてみたんです。何回か作ってるうちにビールにお茶の味や香りを持たせることはできるようになってきたんですが、おいしいビールとしてのお茶らしさを出すのにはやはり時間がかかったんですよ。何度も試行錯誤して町のみなさんにも試飲してもらって、みなさんお茶の専門家ですからいろいろ評価してもらったうえで、ようやく完成したものを外部のビール工場に注文して商品化しました。僕たちは販売の免許だけとってイベントなどで販売してPRなどを続けていました。

──最初は外部のビール工場に注文して作ってもらっていたのですね。

そうですね。
1回あたり600本、800本という単位で発注するのですが、それだけの在庫を保管しながらイベント行ったり配達したりということを3年間くらい続けていて、それを続けるのがけっこう大変で・・・。在庫を置いておくだけでも大変だし、利益もほとんどないし。

この状態のままずっと続けるのは限界があるなと感じていたので、免許をとって自分でビールを製造するか完全にやめるかそろそろ決める時期だとは思ってたんですよね。ただ、この期間にめちゃいろんな人に手伝ってもらってたし、補助金ももらってたりしたんで、やめずに何とか続けて事業にしていけるようにしたいとは思ってました。

それから製造免許のことやビール工場のことなどいろんな人に相談したり調べたりしていたんですが、小規模小資本でもビールを作ることは可能で、酒税法の改正などもあり今から準備をしてうまくいけばいいタイミングで製造免許が取れるとわかったので、そこからは場所探し人探し視察などあちこち動きまくってましたね。

──この物件に決められた理由は何でしたか?

何十件と物件を見て回ってはいたのですが、僕の20年くらい前のこの地域への勝手な先入観なんですけど、この物件ではないなと最初は思っていたんですね。だからずっと情報としてはこの場所があることは知っていたんですけど見にも来ていなかったです。

それで半年くらいなかなか決まらなかったのですが、たまたまここの近くの物件を見に行った帰りに、この物件のことを思い出して、立ち寄りました。それで立ち寄ってみると、この場所、雰囲気、広さ、立地はとても良かったんです。

それでもやはりここの物件に決めるには少し不安があって。でも色々調べている中で、五条楽園の辺りも随分変わってきているし、ゲストハウスもできてきているし、市立芸大も来るし、ということで町が変わってきている良いタイミングだと感じたんです。むしろクラフトビールが一番似合ってくる町になるんじゃないかと、感じました。

──その頃、この辺りにゲストハウスもできてきていましたね。

ここはあまり人通りはないのですが、ゲストハウスも多く、特に欧米のクラフトビール好きそうな方はたくさん通っていて、そういったゲストハウスや近隣の方たちと話していても、ビールを飲みに来てくれる方はかなり多いだろうというようには感じていました。

──もしかすると、この物件を選んでいなかった可能性もあったということですね。

何十件も回っていたので、他の物件に決めていた可能性もあります。迷っている時期に来たから良かったですが、たまたまここに寄っていなかったら、他の場所に決めていたかもしれませんね。

そして、2018年3月に「京都ビアラボ」がこの場所にオープン。現在の村岸さんの活動について、お伺いしました。

──最近は村岸さんの活動として、何かされていることはありますか?

オープンから1年くらいは特に立ち上げやお店全体の運営のことでずっとバタバタしていたんですが、最近は特に作るほう、このお店だとビールの仕込みなど製造の方の作業をしていることが多いです。

──では、現在ご自身でビールを作っていることも多いのですね。

そうですね。最近はつくり手としての仕事に比重を置きたいなとは思っていて、もともとは手作業が好きでいろいろ作っていたんですが、しばらくは事業立ち上げやいろんな方面のことにどうしても時間を使っていたので、また自分で作るほうをちゃんと続けていきたいと思っています。

僕らみたいなビール好きな人、特に作るのが好きな人が集まって作っているお店って飲みにきても楽しいと思うんですよ。だからこのお店をブリューパブにしたっていうのが大きな理由でもありますね。

ブリューパブの良いところって、ビールを作っている現場を見ながら、雰囲気を感じながらビールを飲めるっていうこともあるんですが、特に楽しいのは、奥からビールを作っているブリュワーが出てきて、ビールを飲んでいるお客様と、今飲んでいるビールや、作っているビールについて話せることだと思うんです。常連さんとは同じビールでも、前回作ったものと今回作ったものの違いについて話したりもしますね。「前回はこんなモルトを使っていたけど、今回はこんなモルトを使ってみた」とか。このお店の魅力ってそういうところにあるんだと思います。

──その現場にいることで、お客様に自分の言葉で伝えられるようになりますよね。

そうですね。常にその現場の温度感はいつも大切にしたいなと思ってます。

──ビアラボでの仕事は、村岸さんの仕事のうち何割くらいを占めていますか?

そうですね難しいですね。その時々で流動的なんですが、ビアラボはオープンから1年半でようやく少し落ち着いては来たんですが、まだまだスタッフに任せておける状態でもないですし、ビールを作るほうはむしろこれからしっかり取り組んでいきたい自分のテーマでもあるので、少なくともビアラボの仕事は自分のファーストプライオリティがあることですね。ただ、何がどこの仕事で仕事じゃないのかよくわからない状態のことのほうが多いようにも思いますけど(笑)

あとは、プライベートな時間がとれないことが多いのでそこも見直していってます。あんまり仕事とプライベートの区別がないので余計に意識しないといけないなとは前から思っているんですが、特に自宅が遠いのもあって、帰宅が遅かったり帰れなかったりすることも多いんですが、家族で過ごす時間とかゆっくりリセットする時も必要ですよね。

──そうなんですね。ただ、1週間のうち半分は京都にいらっしゃるということで、ご家族が心配されたり不満に思われることはありませんか?

いやあ実際は半分以上ですけどね(笑)
勝手に単身赴任というか二拠点居住的なスタイルだと思っています。イベントなどであちこち行ってることも多くて、自分の動き方としては楽しくやってるんですけど、家族の理解がないとですよね。一緒にいる時はよく話するようにしていて、おかげでよく理解してくれていると思います。ちょっと意識も変わるから子供とも密度の濃い時間を過ごしてていいんじゃないですかと思ってますけどね。一緒にいる時間ができれば、その時間の中で何かしようと考えるようになりますし。

──現在、村岸さんが思うビアラボの魅力とは何でしょうか?

ビアラボで出しているほとんどのビールはオリジナルビールでここで作っているビールなんですね。どこかに行けば飲めるビールではないので、そこはかなり大きな魅力だと思います。あと、材料なども含めて個性的なビールを作るようにもしているんですが、ビールマニアだけが集まる店ではなくて、むしろふらっと寄れるオープンな雰囲気が魅力の店だと思っています。1人で来てもらってもスタッフや他のお客さんとわいわい話してもらえて、ビールきっかけに輪が広がる店ですね。

ちなみに、ビールが苦手な女性の方や、もともとビールは好きじゃないという方でも、自分好みのビールが見つかる店ともビアラボの魅力としてと伝えしておきます(笑)

──最近はどんなメニューを出されていますか?

メニューは頻繁に変わるので固定のビールは少ないんですが、今だと京漬物に与謝野の生ホップを使った京都産原料だけで作ったビール、シークワーサーを原材料に乳酸を使ったサワーエール、あと和束の茶葉を使った茶ビールは定番として3種類作っているんですが、今は3種類のうちほうじ茶スタウトを出してます。原材料に京都産のものを使ったり、各地のフルーツや野菜などを使ったビールなどもよく作っています。

──海外の方は京都産のものや地元のものには惹かれますよね。

麦芽やホップはほとんどが海外から輸入したものを使っているんですが、やはり海外から来られた方は特に京都産の原料で作ったものに興味持ってもらえますね。クラフトビール自体がローカルで地元のものという印象が強いせいか、麦芽やホップの大半が海外製ということに驚かれることもあるんですが、やっぱり京都に来て飲むビールの原料が京都産だと特に喜んでもらえます。ホップだと、通常はペレットのものを使っているんですが、それを採れたての生ホップを使うことで、仕上がりから数日間は特にフレッシュな香りを感じてもらうことができるんです。生ホップだから香りが新鮮なうちに、収穫して出来るだけ早くビールの仕込みに使うんですが、やっぱり地元の材料ならではの使い方で特徴を感じてもらいやすいし、普段飲んでいるビールとの違いも鮮明なので驚かれることも多いですね。

──そうなんですね。でもそういうところが人気なのか、やっぱり海外のお客様は多いですね。

海外のお客さんはとても多いですね。
もともと特に欧米ではクラフトビールがよく飲まれていて、普段からいろいろなビールを飲み慣れている方が京都に来てもクラフトビールのお店を探されているということがありますね。特にビアラボのようなブリューパブやクラフトビール専門店で、個性的なビールや京都のここだからこそ飲めるビールを求めて来られる方は多いです。こういった海外からのお客さんはSNSでビールの評判をチェックしてから来られる方もとても多くて、始めて来られたのにビアラボのことやビールのことをよく知っておられたり、ビアラボは僕の国では有名だよみたいに言ってくれるお客さんもいたりして、ビールコミュニティの繋がりはすごく感じますね。

──お店にはクラフトビール好きな人が飲みに来られることが多いですか?

もちろんクラフトビール好きの方も多いですが、飲んだことがあるとか興味があってみたいな方も増えてきていますね。あと、お店がぱっと外から見てビールを作っているなと分かるのも日本では珍しいので興味を持ってもらいやすいのもありますね。

このお店を作ろうと思ってあちこちのブリュワリーやお店を見てまわっていたとき、2週間くらいかけてポートランドをまわっていたんです。ポートランドは地域全体でクラフトビールに関わる活動もしていたりするので、そういうのを見ておきたくて。実際ポートランドでは、ブリューパブに地元の人が子どもたちを連れて家族で一緒に遊びに来たり、犬の散歩の途中に立ち寄ったり、また原料の生産者さんとも日常的に近い距離で付き合っておられて、地域の人の生活にビールが深く根ざしているのがすごく感じらて、そういうお店というかそういう地域にしたいなとすごく思っていたんです。

だから、ビールを作っているのがすぐ分かるという見た目もそうですけど、お客様がふらっと入ってきてスタッフやそこにいるお客さんと話をしたり、醸造の方まで気にしてくれていたりして、そういうフラットな雰囲気のお店になるようにと思っています。

──京都らしいビールが飲めて、そういうフラットな雰囲気もあって、海外の人にはおすすめしたくなりますね。でもかかっている音楽も、お洒落で良いですよね。

ビールと音楽ってすごく相性がいいので、頻繁に音楽のイベントやったり普段のお店でかけてる音楽もDJのスタッフの選曲だったりしてます。

──お店の魅力についてお伺いしましたが、それでは普段仕事されている中で村岸さんが大事にされていることはありますか?

いろんなことをやりたがる性格なんでいつもばたばたしてるんですが、とはいえ余裕のある時には目の前の仕事以外のことに目を向けるようにしています。

最初の町家の活動の話もそうですが、普段の仕事にちょっと余裕ある時とか、無理ない程度に時間を作れるようにして、自分の近い人たちや地域などに自分がやれることをやりたいと思ってますね。そうするとちょっとづつ良い関係やよい環境が作られていくんで、そんな雰囲気になっていくといいなと思ってます。それが、さっきの話だと大工さんが近所のおばあちゃんの家を直してあげてたことだったり、このあたりだったら近所の掃除したり、お祭りに参加したりすることだったりとか。割と当たり前に思いがちで出来てなかったりすると思うんですけど、ちょっとしたことを当たり前に続けることで、さっきのお店のフラットな関係とか温度感が伝わることとかも、そういう積み重ねのように思いますね。

──では、今後村岸さんが力を入れていきたいことはありますか?

このお店がオープンして1年半ですが、偶然ですがすごく面白い地域に入らせてもらったし、縁があったことなので今後この地域にしっかり関わっていきたいと思ってます。それがこの店をずっとやっていくことでも良い影響になっていってほしいのでそんな店にしていきたいですよね。あと、このビールの事業は僕が和束で活動をしていたことから広がってきてお店にまでなりましたが、もともとの地域での取り組みだったり地域活性のところがまだ全然なので、今後どんな形になるかはわからないですけどもう少し進めていきたいと思っています。なので、あちこち縁があって関わらせてもらったところは時間かけながらおもしろい場所にしていけたら最高ってことですかね(笑)

続いて、「京都ビアラボ」や京都でのインバウンド状況についてお伺いしました。

──お店には外国人のお客様が多いということでしたね。お店で外国人と日本人のお客様の間で交流が生まれることはありますか?

そういうことは多いですね。そんな店がいいなと思ってるんでスタッフからもわいわい話させてもらってます。

──スタッフの方は全員英語を話せるそうですね。

全員喋れます。

──来店している外国人では、やはり欧米の方が多いですか?

京都全体では韓国や中国、台湾の観光客が多いようですけど、ビアラボだと欧米の方が圧倒的に多くて、オープンから1年間はアジア系の方はかなり少なかったですね。今年になって少し増えてきた印象です。

お店によって、来店されてる観光客の方の出身の国や地域はすごく偏っていることが多いですよね。知り合いのゲストハウスはタイ人ばかりだそうです。泊まりに来たお客さんがタイの有名なユーチューバーだったそうで、そこから広まったことでタイの方が増えて、ついにタイ人用のメニューを作ったとか言ってましたけど。小規模なお店だとSNSの影響はすごく大きいですよね。

──京都全体のインバウンドの状況についてはどう思われますか?

ビールに関してだと、さっきビール飲みながらブリュワーと話する醍醐味を言ってましたけど、さらに醸造体験だったり、何種類ものビールを飲み比べしながらその作り手と交流したりという、より深く中に入った体験が好まれてますね。ビールの原材料のホップを収穫するツアーに参加したり、こういうことはビールだと海外の事例を見ていると結構わかりやすいんですが、ビールを飲んで終わりじゃなくて、生産者や地元の人との交流とか現場の作業に参加したりというローカルな体験が好まれてきてますね。もちろん日本人の人にもそういうことは好評だったりするんですけど、旅行者の人たちなのでそこまでコミュニティに入るっていう意識ではなくて、自分たちで参加して話して体を動かして、ローカルな体験をして地元の人達と交流することが好まれていますね。

──旅行先で出会った人に何かしてもらったり、という偶然の体験が一番の旅の思い出になることも多いですよね。

僕は海外に行ったらまちをうろうろするのが好きで、おもしろそうなお店にふらっと入ってみたり、地元のおばちゃんとしゃべったりしてるんですが、やっぱりそれが楽しいし記憶にも残るんですよね。そうやって仲良くなった人と飲みに行ったり、どこかに連れて行ってもらったりするのはやっぱりその瞬間しか出来ないことだし、その一期一会感がたまらなく楽しいですよね。

そういう1対1の付き合いをしたり、ローカルな場所を知ってもらったりがいいと思いますよね。

ONE KYOTOさんでも、「もっと本当の京都を外国人の方に知ってもらいたい」という思いがあって活動されているんですよね。僕もそういうところを見てほしいなと思いますし、海外から来ている人を遊びに連れて行ったりしたら同じようにすごく喜んでくれますよね。普通の観光で知らないところに行けたり地元のいろんな人と交流できると。

──最近では外国人観光客の方が増えすぎて、「観光公害」と呼ばれるような現象も起こっていますね。京都ビアラボに来ている外国人の方に対しては、近隣の方はどう思われていますか?

うちのお店に来てくれる外国人の方に関しては、近隣の方も基本的に好意的に受け止めてもらってるんじゃないですかね?たまに外で大きい声で話してるお客さんがいると騒がしく思われてることもあるかもしれないですが。基本的には地域にとっては人が集まる場所ができて、僕も含めてスタッフたちも出来るだけ顔の見える関係でいるようにしてるんで、だから多少騒がしいことがあっても理解してもらってるんでしょうね。

──確かにどんな人が働いているか知っていると、印象は大きく変わってきますよね。

下手したら、若い人が多くて、大きい音で音楽かかってる外国人だらけのバーみたいな印象だけだと、何かあったときに絶対ネガティブな感情になりますよね。

──村岸さんは高瀬川の清掃活動を手伝ったり、地域の盆踊りの運営もされていましたね。普段から地域の活動に協力的だからこそ、そういう関係性が作れるんですね。

僕はそういうの好きなんでやってますけどね。

──お店の方の努力があるからこそ、地元と外国人の方の間でも良い関係性を築けているのかもしれないですね。

いやまぁ、地元に何の縁もないお店が急に出店してますからね。どんなお店なのかとかどんなスタッフなのかとかは少なくとも知ってもらえるようにはしたいですよね。

でもさっきの旅行の話でもありましたけど、例えばこの盆踊りをビアラボの外国人のお客さんに紹介したらほとんどの人がすごい興味持ってくれたし、当日はかなりのお客さんが盆踊りに行って踊ってめちゃくちゃ喜んでくれてたんですよ。それこそ、こんなローカルなイベントに来て日本の伝統的な踊りに参加するってすごい旅の醍醐味ですよね。そして盆踊り自体も少なからず外国人も増えて盛り上がったと思うし、そういうことを続けていたらお店と地域との関係も良くなるでしょうし、そうやって多少でもいい関係作りできたらいいなと思いますね。

最後に村岸さんが考える京都の魅力や、これからの京都のあり方についてお伺いしました。

──村岸さんはこの辺りの五条界隈・菊浜学区で活動されていることが多いと思うのですが、この地域の魅力は何でしょうか?

本当にすごく狭いエリアなので、たまたま知り合った人とか、きっかけとかによってすごく変ると思うんですけど。僕はとても良いタイミングで運良くいろんな人と知り合えて、地元の方とも仲良くなれたと思うんですよね。で、そうやって知り合った人たちがすごく積極的に活動するし、いいバランスで動けてるんで、何か僕はたまたまそこに転がり込んだだけなんですけど、これからどんどんこの地域が変わってくるタイミングだとも思うんで、このたまたま入らせてもらった機会を店だけじゃなくこの地域でも活かしたいなとは思いますね。古いまちなみや歴史的な建物がたくさん残っていて、この高瀬川沿いの静かなエリアはこれだけでもすごい魅力なんですが、ここにそういう面白い人達が集まっていてこれからいろいろ仕掛けていこうとしているのがこの地域の大きな魅力でもありますね。

──では、京都のまちの魅力は何でしょうか?

京都はよく、敷居が高いとか表裏があってやりにくいみたいな言い方されてますが、京都が特殊というよりはそれぞれ地域には違いがあって当然ですからね。他でやってたこととか自分のやり方がどこでも通用するはずないんで、それはその地域のことを知ろうとしないとやりにくさ感じるのはもちろんやと思うんで、その地域はどういうところなのか、どんな人がいるのかはだいたい分かっていたら京都はすごく受け入れてくれるし、コンパクトな街なんで何かと動きやすいし人との関係もすごくいいバランス感を感じます。

──きちんと受け入れてくれるし、だからこそ東京から引っ越して京都に来て仕事する方もいますよね。この間「マールカフェ」の店長をされている友添さんは、たくさんのものが小さんなエリアに詰まっているのが京都の魅力だと話されていました。

そうですね、京都駅もあれば西本願寺・東本願寺もあって、下京区なんか特にそうだと思います。

──インタビューも終盤になってきましたが、それでは、村岸さんはこれからの京都にはどんな町になっていってほしいですか?

以前、西陣のほうで空き家になった町家をいろいろ活用してたんですが、そんな中で地元のみなさんからよく聞いたのは、近所には大学もいくつかあって学生が近くにいるはずなのにこの地域に住んでいる学生はすごく少ない。祭りなどに来てくれるのも高齢者が多いので、学生さんたちに住んでもらって、地元に目をむけてくれる若い人が増えないかなというものだったんですね。

当時は町家が今ほど価値を感じてもらってない頃だったので、活用方法としてそういった町家に学生の人たちが住むっていうのもほとんど無くて。なので自治会の方や京都市の方とかも一緒になって空き家の活用に取り組んでいたんですが、学生さん向けにやるぞってなったら、それこそ近くの大学とか先生とか学生さんたちも含めすごくたくさんの近い人達が動き始めてくれたんですね。学生向けのシェアハウスにして自治会にも入ってもらって祭りの企画とかもやってもらおうとか、地域の空き家活用の事務局を学生さんたち主体で動いてもらおうとか、改修作業にも大学生や留学生のボランティアがすごくたくさん参加してくれたりして。

──西陣の辺りもどんどん変わってきていますよね。

今はこういった古民家活用も盛んですし、資金調達の方法もたくさんあってやりやすくなってるんで、当時から比べて本当に町の雰囲気が変わってきたように思いますよね。それこそSNSで声かけたら人が集まってくれて動き出せるんで、ハードルがめちゃくちゃ下がって動きやすいし。

たぶん京都はいろんな面でプロジェクト立ち上げたりしやすい町なんで、特に最初にわいわい言い出す人がいたり、一緒に動き出す人たちも大勢いて、こういう動きが今後ますます盛んになってきそうで、そうやって京都独自の面白さがどんどん広がっていってほしいですね。

 

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今回のインタビューを通じて、京都ビアラボができるまでの経緯や、その人気の秘密、今取り組んでいることや今後の京都のあり方について、村岸さんの視点でお話いただきました。

インタビュー時(9月)には、秋らしいビールの開発を構想中と伺っていました。まだ行ったことがない!という方がいれば、この機会にぜひお店に訪れてみてはいかがでしょうか?

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