SharingKyoto 事業 2019.09.24

【インタビュー】Vol.4 友添 敏之 さま(株式会社友添商店 代表取締役)

<今回の話し手のプロフィール>

■ 友添 敏之(ともぞえ・としゆき)

神奈川県横浜市生まれ、立命館大学経済学部卒。「日本一のサラリーマン」になることを目指して、ローム株式会社に入社。2年半の営業の仕事を経て、独立して起業。「京都をおもろくする」を社是に株式会社友添商店を立ち上げる。河原町の麻雀店から始まり、現在では木屋町の居酒屋、河原町五条のカフェを加えた3店舗の運営を行う。

■ マールカフェ

http://www.marcafe.jp/
2016年オープン。京阪清水五条駅から徒歩4分、鴨川近くという好立地にあり、テラス・図書室を併設したカフェ。京都の景色を一望しながら、お洒落でゆったりとした雰囲気を楽しめることから、観光客や地元客からも人気を得ている。2018年9月には、認知症の方がスタッフとして働く機会を提供する「注文をまちがえるリストランテ」を京都市の市民グループ「まぁいいかlaboきょうと」とともに開催。

 

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まずは友添さんにこれまでの経歴や、この仕事を始められた経緯についてお伺いしました。

──あらためて、これまでの経歴について簡単にお教えください。

横浜で生まれたのですが、父が転勤族のサラリーマンだったので、3年くらいずつ秋田と長崎と静岡にも住んでいて、中学のときに横浜に戻りました。高校を卒業して、大学は立命館大学に行っていたので、そこで初めて関西に来ました。

立命館大学ってキャンパスが2つあるのは、ご存知ですか?京都と滋賀と・・・。

──琵琶湖草津キャンパスですね。

そうです。立命館の経済学部は琵琶湖草津キャンパスでの授業だったので、正確に言うと住んでいたのは滋賀でした。ただサークルの活動や飲み会がだいたい京都であったので、滋賀と京都と半々くらいの生活をしていたんですよね。

──その後は京都で就職されていますよね。

競争がすごく好きで、何でも一番になりたかったので、就職活動をしているときは日本一のサラリーマンになりたいと考えていました。その当時、日経新聞の優良企業ランキングでローム株式会社が2年連続で日本一になっていて。京都が好きで京都に残りたいという気持ちもありましたし、それに日本で一番のこの会社で社長になれたら、日本一のサラリーマンになれるんじゃないかと考えて、そこで働くことに決めたんです。

それで結局採用してもらえることになって、そこで2年半働いていました。ただ、日本一の会社だから行きたい、というだけできちんと会社のことを調べていなかったんですよね。ロームは半導体の会社なのですが・・・半導体って何かご存知ですか?

──機械に入っている小さな部品ですよね。

そうです。携帯やデジカメなど、機械には何でも入っているものですが、ロームはその半導体を作って販売する会社なんです。

僕はそこで営業をしていて、トップセールスマンになるなら売る商品は何でもいいと思っていました。ただやっぱり、商品を売るにはもちろん商品の勉強をする必要があって、理数系の知識がない中で、半導体について勉強していくのはかなり辛かったんです。

それに当時はまだ創業者のオーナー社長が現役で、仕事は楽しかったのですが、僕が社長になろうと思うと多分60歳くらいまでかかるなと思ったんですよね。

先進的なイメージの会社だったのですが、実際課長になるには5年、そこから部長になるには7年はかかるという、ルールとして決まっているわけではないですが、先輩たちを見ていると何となくそうなのかなあ、というものを感じました。僕は30代で社長になりたいと考えていたので、60歳で社長になるのは遅すぎると感じていたんですよね。それだったら自分で会社を作って、その会社を日本一にできれば日本一のサラリーマンということになるし、シフトチェンジをしてそっちの道を目指すことを決めたんです。

──ということは、その後会社を辞められたのですね。

そうです。会社を辞めて、会社を自分で興すことにしました。半導体の勉強はやはり自分には向いていなかったですし、せっかく自分で会社を立ち上げるなら自分の好きなことで会社を作りたいと考えて、アパレルの会社を作ることに決めました。

ただ、僕のイメージしていた会社を作るにはザックリと1億円くらいかかるかなと思い、まずは5年間で1億円貯められる仕事を始めようと考えて、選んだのが麻雀店、雀荘でした。現金商売で在庫を抱える必要もありませんし、ライバルはそこまで手ごわい印象を持っていなかったので、雀荘を選びましたね。

オープン3年目で2号店を東京に作って、5年以内にその2店舗で5000万を貯める。その2店舗を5000万で売って、合計1億円を貯めて5年後にアパレルの会社を作るという計画で、雀荘をまずは始めました。

──では、その雀荘は今はもう残っていないんですね。

いえ、1億円はまだ全然貯まってません(笑)雀荘もまだあります。アパレルをやりたいという気持ちはありますが、実は起業してから自分の考え方が変わってきたんです。

それまで僕は、「一番が好きだから一番になりたい」とか「自分が楽しければそれでいい」とか、自分のことしか考えていなかったのですが、お店を始めてみると、一緒に働いてくれるスタッフとかお客様ができて、考え方が少し変わったんですよね。

例えば京大の学生とかが通ってくれて、卒業して東京に行ったりするんですけど、その子がゴールデンウィークのときに京都に帰ってきてお土産を持ってきてくれたり。「会社入ってみたけど、けっこう楽しいです」とか、年末に帰ってきて「もう会社をやめようと思っていて、こういうことをしたいんですよね」って相談してくれたり。そういうのを見ていると、お店って動いているし、人って生きているんだな、ということが実感できて。やりがいって自分のことだけではないんだな、って思うようになったんですよね。

それで一番の会社って何だろう、と考えたときに、一番の会社なんてないんだということに気付いたんです。それだったら、人や社会に貢献できるような仕事をしていきたいなと考えるようになりました。

──それで、現在の活動につながるわけですね。

そうですね。
特に僕は京都が好きで。京都には学生が15万人くらいいて、しかも優秀な大学がいくつもあるんですよね。そういう学生たちに面白い経験をしてもらえたら、生まれた瞬間に見た景色みたいに、原体験として心に刻んでもらえる。しかもその学生たちが社会人になれば、東京や海外、世界中に飛び散っていくので、それって社会貢献というか世界につながる仕事だなと思っています。

あとは学生に関わらず、自分が好きなこの町を色んな人にとって「おもろく」することは、社会貢献でもあり、自分の仕事する意味だと考えています。

効率が良いので、最初は雀荘をチェーン店化することを考えていましたが、途中でやりたいことが見えてこないことに気付きました。同業種で多店舗展開するのではなく、それよりも自分の好きな京都というローカルエリアに絞って、その一つの地域に他業種のお店をたくさん作っていきたいなと考えたんですよね。

それで2店舗目をどういうお店にするか考えていたんですけれども、僕はお酒を飲むのが好きなんですよね(笑)それに、アパレルには専門知識が必要で作るのには時間が掛かりそうでしたが、お酒やアテでお客様を楽しませることなら今の自分でも出来そうだと思えたので、京都のまちなかに居酒屋を作ることにしました。実際に居酒屋を作ってみると色々学ぶことが多かったですし、力を入れて経営しているとお客様にも集まっていただけるようになりました。

──確か、木屋町にあるお店でしたよね?

そうです。それから3年経って、マールカフェを作ることになり、今に至っています。

──今お話しいただいたように、友添さんはこれまで様々な活動をされてきたと思うんですけれども、現在は興味関心を持って取り組まれていることはありますか?

そうですね・・・仕事をしているのが楽しいから、興味があるのは仕事のことばかりですね。もちろん本も読みますし、映画も観ます。音楽も聴くんですけれども、やっぱり自分が代表取締役社長を務める株式会社友添商店の活動にすごく興味を持っていますね。

この会社はきっと京都を「おもろく」してくれると思うんです。僕の会社の社是は「京都をおもろくする」という9文字なんですが、この10年でその社是を大分体現できるようになったんじゃないかなと、手応えを掴みつつあります。今はその目標を実現していくことに一番関心がありますね。

──社是、初めてお伺いしました。面白いですね。

そうなんです、覚えておいてください。京都を「おもろくする」で、「面白くする」ではないんです。

「京都をおもろくする」ことを目指して活動し、少しずつ手応えを掴みつつあると話す友添さん。では具体的にどのような活動をされているのか、現在のお仕事内容についてお伺いしました。

──では、仕事内容について教えていただけますか?

会社の仕事内容としては、雀荘・居酒屋・カフェの3店舗の運営・経営です。

でもこの10年以内にさらに、京都市内において「鴨川より西」で「堀川より東」、「今出川よりも南」で「塩小路よりも北」のエリア内で、それぞれ異なる業種のお店を20店舗作りたいと考えています。

──現在は、20店舗のうち3店舗まで達成できているということですね。

そうですね、あと17店舗です。

──今後、他に展開していきたい業種は何ですか?

自分があったらいいなと思うお店で、現在はないお店作りたいんですよね。

まずは、四条河原町あたりに美味しい定食屋さんが作りたいですね。

──確かにあまりないかもしれませんね!

そうなんです。王将もリンガーハットも美味しいですし、僕も大好きなのでよく行きます。でもチェーン店ではなくて、A定食とB定食しかないような税込み800円で食べられる気軽な定食屋さんが一番欲しいんですよね。

──美味しいところもありますけど、確かに四条河原町はチェーン店が多いですね。

そうなんです。
その次には、泊り客同士で交流する機会がたくさんある超接触型のゲストハウスを作りたいです。お洒落に泊まれるというよりは・・・むしろ京都の大学生だったら1500円で泊まれて、20~30人くらいで集まって外国人も含めて交流ができるようなゲストハウスです。「今日は時間があるし、あそこに行くと楽しいから、今日も行ってみよう。」ってクラブに行くような気分感で行ってもらえるような場所。日本人も外国人も含めて、僕たちが間を取り持つような交流の場を作りたいです。

──確かに自分が学生だったら、そういう場所に行きたいと思いますね!

行きたいですよね!もちろん学生はお金があるわけではないですし、980円で漫画喫茶に行きたいと思うこともあると思うんですけれども、それだとあまり意味がないと思うんです。その代わりになるような、学生たちにとってもっと意味のある遊び場を作りたいんですよね。

──他にはお店のアイディアはありますか?

あとは移動式のカツカレー屋さんが作りたいです。僕がネットで簡単に調べた範囲では、カツカレーの専門店は日本にありませんでした。昔高田馬場あったみたいですが、それもなくなってしまって。

ワーゲンバスみたいな車で移動して、毎日違うところに行って、そのカツカレーを売るんです。それで例えば、週5日働いている会社員が、5日のうち1日は駐車場に止まっている車を取りに行って、カレーとかビールを売って働いて、車庫にしまって帰るんです。会社員でもそんな過ごし方ができる日があると、楽しいと思いませんか?僕自身カツカレーが好きというのもありますし、福利厚生としても良いと思うんですよね。

──最近はスパイスカレーも流行っていますが、カツカレーもいいですよね。働き方としても、面白いアイディアだと思います。

もともとアパレルもしたかったので、セレクトショップも作りたいです。お洒落に興味がない方でも、友添商店のお店を好きになってもらったお客様に、「友添商店のお店だったら行ってみようかな」と言って来ていただくんです。それでお店でハンチングハットを買ってもらって「あれ?帽子ってけっこういけるやん」って感じてもらえたりしたら最高じゃないですか!

あとは、良い映画がソファで見られる映画館だったり、ご飯を食べながら生の音楽が聴けるミュージックダイナーとか。音楽を聴きながらご飯を食べられる場所って京都にはあんまりないかなと思うので。お客様に少しだけお洒落して遊びに来てもらって、音楽とお酒とご飯とを一緒に楽しんでもらえるような場所を作りたいですね。

──これから目標20店、作っていくのが楽しみですね。

楽しみですよね。そんなお店がある町だったら、住みたいなと、思ってもらえると思うんですよね。

──今お伺いしただけでも、色んなアイディアをお持ちですごく面白いですね。では、普段お仕事をされている中で大切にされていることはありますか?

そうですね。
特に意識して決めていることはなかったんですけれども。「レスポンスの早さ」、「テンションの高さ」、あと「やりたいこととか目標を公言する」ということは昔から気付かないうちに実行してきていて、それに助けられてきたなと思い返してみて感じます。特に最初の二つの項目については、そういう対応をしてもらえると、嬉しくなりませんか?

──そうですね、そういう人とは一緒に仕事をしたいなとも思いますよね。

仕事もそうですし、友人についても、誘ってすぐに返事をもらえると嬉しいですね。誰からの誘いに対しても、行けないという返事も、行けるという返事もすぐにします。だから、Facebookの「興味あり」というボタンがすごく嫌いなんですよね(笑)大人になるとスケジュールが決まらなくて、どうしても返事ができないときもあるんですけれども、はっきり連絡したいので、すぐに「参加」ボタンを押していることが多いですね。

──そういうふうに対応してもらえると、声をかけているほうもすごく助かりますよね。

あと、目標を公言するってことは色んな人が言っていることだと思うのですが、僕は就活するときにも「日本一のサラリーマンになる」と決めて、絶対にロームに行きたいというのは公言していました。

このことに関しては僕の印象に残っている話があるんです。
ロームで働いていたころは、始業が8時15分で・・・早いですよね。それで始まるときに、営業所によっては1人で前に出て、50人くらいの前でスピーチをするんです。自分の仕事の話や、プライベートで勉強になったことをスピーチしていました。その後に体操して、それぞれ仕事を始めるんですけれども。

そこで、ちょうど僕が退職しようかなと考えていたときに、ある先輩が「夢には日付を付けよう」ということを言っていたんですよね。目標を達成するには「この日にはこれをして、その前にはこれをして・・・」というふうに、前倒しでスケジュールを組んで動く必要があるんだ、という内容のお話をされていて。今聞くとありふれた内容なんですけれども、それを聞いた当時は確かにそうだなと思ったんです。

──目標の期日をきちんと決めると、いつから何をすればよいのかがはっきりしますね。

そのときは、別の会社の社長さんのこんなお話も引き合いに出されていて。

その社長さんは大学卒業から2年で居酒屋を作ると決められていて、社長になるには経理を学ぶ必要があると考えられていたので、1年間経理ができる会社で働いていたんです。一緒に居酒屋を作ると決めていた相方にはノウハウを学ばせるために、居酒屋のチェーン店に就職させて。その方自身は後半の1年間にお金を貯めるためにトラックの運転手をして、結局二人で起業したそうで。それを聞いてすごいなと感じましたね。

そのとき僕は会社員3年目になったところだったんですけれども、それを聞いてすごいなと思って、社会人になって3年以内にお店を作るんだ、と僕も周りにたくさん言ってきました。それによって応援してくれる人もいましたし、自分を追い込んだことで3年目の終わりの3月1日に雀荘をオープンできたんです。かなりぎりぎりのオープンではあったんですけどね(笑)

──でも、言葉にするのはとても大切なことだと思いますね。

やはり自分を追い込まないと目標を達成するのは難しいですしね。後回しになりますし。

続いて、今回のインタビューの実施場所でもあり、友添さまがオーナーを務める「マールカフェ」のインバウンド状況について、お伺いしました。

──現在は、お店を3店舗運営されていますね。その中でも、マールカフェには外国人の方はどのくらい来店されていますか?

マールカフェに限って言えば、1日150人くらいのお客様のうち10~15人が外国のお客様です。だから全体の10%くらいでしょうか。その中では、欧米の方が多いですね。最近は、仲の良い近隣のお店や、ゲストハウスからのご紹介で来ていただけることもあります。

でも飛び込みの外国人のお客様も少なくありません。外国人のお客様は古いビルの中にカフェがあることに、慣れているのかもしれないですね。「カフェがありそうだ」と感じて来てくださるお洒落な外国人のお客様は昔から多かったですね。

──来店された外国人の方は、食事に来られることが多いですか?それとも飲みに来られることが多いですか?

そうですね、どちらかというとお昼の方が多いかもしれませんね。お昼に来てランチを食べて、「また夜に来るね」と言って夜に来て飲んでくれる、というケースも多いです。

──この間私が来店したときは、欧米の男女のカップルが2人でビアガーデンを利用されていました。外国人でそういう京都の楽しみ方ができるというのは、お洒落で良いなと思います。

マールカフェのすごいところは、来店された外国の方に100%気に入って帰っていただけるところなんですよ。もちろん本当のところでどう思ってるかは分からないところもありますけどね。ウクライナの方だったかな、このテラスの感じとかが「ここは私の町の風景に似ている」と仰ってくださって。

The Japan Timesの80周年のパーティーにもここを使っていただいたことがあるんですけれども、その時も様々な国に行って取材されている記者の方に「Great!」と言っていただきました。それで展示会をしたいということで、展示会にも使っていただいたり。

──ルーフトップやカフェは数ある中で、このカフェは鴨川のそばという好立地にあって、しかも気取らずに来られるというところが大きな魅力だと思いますね。

そうなんですよね。「イン・ザ・ムーン」さんとか、「y gion」さんとか、京都には色んな良いお店があって、かっこいいなと思うんですけれども。マールカフェはもう少し庶民的で、老若男女色んなお客様が色んなシーンで来て頂ける場所かなと思っています。外国の老夫婦もいれば、家族でも来られるし、近所のおばさま方にも使っていただいたりして。変に今風過ぎないので、全方向にオープンなお店なんです。

──友添さんは京都で大学生活を送られて、そのまま仕事も京都で続けられていますね。マールカフェを含めた3店舗も全て京都に展開されているわけですが、友添さんにとっての京都の魅力は何でしょうか?

短くまとめて言えば、コンパクトな中に多様性がたくさん詰まっていること、です。僕は小さい頃から秋田や長崎、静岡に住んでいましたし、友達と会ったりイベントもあったりして大阪や東京や名古屋、神戸、福岡にも1年に何回か行くんですよね。どの町にもその町の魅力があるんですけれども、京都はとにかくコンパクトです。かなりの範囲を自転車で行けますし、その中に多様性が本当にあるんですよね。

建物の多様性もすごいです。お洒落な最先端の建物もあれば、もちろん歴史のある町なのでとても古い建物もありますし、町家も残っています。建物だけではなくて、人も多様です。一人暮らしをし始めた若い大学生もいれば、地元の大学生もいますし、おじいさんおばあさんもたくさん住んでいて。おじいさんおばあさんが暮らしている生活圏の中に今風のスポットがあったり。人口も比較的多いですし、人やお店の多様性もありますよね。

考えてみると、コンパクトな中にまとまっていながら、地域ごとの住み分けもとてもきれいにされていて、これは他の町にはあまりない特徴だと思います。河原町や烏丸、祇園っていうのは狭いエリアですけれども、その狭い中にも、祇園には祇園らしい塊がありますよね。河原町と四条、烏丸に関しては地価が高いというのもあってチェーン店が多くなって、そこから奥に入った柳馬場や富小路、麩屋町あたりは個人店ばかりの良い雰囲気のお店が多くなります。

コンパクトな中にもお店の住み分けがされていて、すごい都市だなと感じますね。僕から見た京都の魅力は、そこにあると思います。

──確かにこんな狭いエリアに多様なものが集まっている町というのは、なかなかないですよね。

東京には渋谷や池袋、新宿などたくさんのエリアありますが、京都市は市全体でその一つのエリアと同じくらいの規模だと思うんですよね。その一つで色々なものを表現できているというのはすごいと思いますね。

あと、狭いからこそすぐ偶然知り合いと会うのも面白いです(笑)

最後に、友添さまから見た現在の京都、また今後の京都のあり方についてお考えをお伺いしました。

──では、友添さんから見て、今の京都についてはどう思われますか?

ホテルがたくさんできている現状はどうかなと思いますね。逆に今の京都しか知らないんですけれども、この5年くらいでホテルがかなりたくさんできたなという印象はあります。

──ホテルがたくさんできていて、最近では町家の宿泊施設なんかも差別化が難しいというお話を聞いたことがありますね。

そうなんですよね。ないものを作るというのは、意味のあることだと思うんですけれども、すでにあるものを作るということにどのくらい意味があるのか、と思うんですよね。

──では今後は、京都はどのよう町になって欲しいと思われますか?

「理想の京都」はないと思うのですが、「理想の町」はあります。どこの町にも理想のかたちはあって、それってその町の特徴を活かしたセンシュアスな町になっているかどうかということだと思うんですよね。「センシュアス・シティ」というのは、僕の中でキーワードとしてあります。官能都市、という意味なんですけれども。

──初めて聞きました。

「センシュアス・シティ」は、LIFULL HOME’S 総研の島原万丈さんと言う方が提唱している、町を評価する指標です。ところで、「住み良さランキング」で7年連続1位になっている町があるんですけれども、ご存知ですか?

ご存知ないかもしれませんが、1位は千葉県の印西市というところなんですよね。「住み良さランキング」や、こういった町のランク付けの指標ってたくさんあって、例えば持ち家比率や、住民1人に対する病院の数や、住民1人に対する公園の広さ、道幅の広さなんかでランキング付けされているんですよね。

確かにそういう町は住みやすいかもしれないですけど・・・そういう町に住みたいかなと思ったときに、僕は別に住みたいとは思わないなと、考えていたんですよね。「住み良さランキング」って何なんだろうとは感じていたんですよね。

でも、その島原万丈さんの指標では、ハード面ではなく、ソフト面というか「動詞」で評価をするんですよね。その指標は8つの大項目に分かれていて、その大項目がまた4つの小項目に分かれています。その32項目に対して、その行動をどのくらい体験したことがあるかによって、点数をつけていくんです。

──例えば、「美味しいレストランがある」というのも指標の一つになりうるということでしょうか?

そうなんですよ。
「食文化が豊かである」という項目があって、「庶民的で美味しいお店でご飯を楽しんだかどうか」とか「地元でとれる食材を使った料理を食べたか」とか。「町を感じられる」という項目では、「町の風景をゆっくり眺めたか」とか、「ちょっと遠回りして、いつもと違う道を歩いたか」とか、「馴染みの飲み屋で店主や常連客と盛り上がったか」とか。「デートをしたか」、「通りで遊ぶ子供たちの声を聞いたか」とか。

──とても素敵な指標ですね。

これってとても良い指標だと思いませんか?こういう指標が32個あるんですけれども、こんな町だったら住みたいと思いませんか?僕は住みたいとすごく思うんですよね。

「京都をおもろくする」というのは僕が5年くらい前に立てた社是なんですけれども、1年くらい前に友達に誘われて島原さんのトークを聞きに行って、僕が作りたい町はこれだなと感じたんですよね。だから、京都をセンシュアス・シティにしたいと考えています。

ですから最初の質問に答えるなら、どの町にも関しても、その町の特徴を活かしたセンシュアス・シティになっている状態というのが、その町の理想のかたちなんだと思います。

──このセンシュアス・シティの基準で京都が評価されるようになれば、より良い町になりそうですね。

そうなんですよ。
ただ現在京都市は全国で23位と、少し低めなんですよね。全部で100以上の町のランキングなので、その中では順位が高い方ではあるとは言えるんですけれども。京都には世界中から人が来ていて、大学生もいて、面白いお店がたくさんあるのに、23位と少し順位が低いんですよね。

ちなみにセンシュアス・シティの全国1位は、東京都の文京区なんです。文京区って少し地味なイメージもありますが・・・(笑)

──私も古本屋さんやカレー屋さんのイメージくらいですね(笑)

良い町というと、なんとなく杉並区とか世田谷区の名前が挙がったりしますが、「階段が多くて歩くのが楽しい」とか、そういうことも評価の対象になりますよね。

──下町らしい雰囲気もありますしね。

そうなんです。
だから、僕は京都をセンシュアス・シティにしたいと思っていますし、その理想の姿に近付けるための活動をしています。

──素敵な取り組みだと思います。では現在友添さんから見て、今注目されている取り組みや人物はいらっしゃいますでしょうか?

それは、これから探していきたいと考えています。自分の目標は定まっていて、それを達成するための具体的なスケジュールを立てようと思っているところなので、そのためにも人から誘われるイベントや勉強できる場には積極的に行こうと考えています。だから、京都でそういう取り組みについて学べる機会はこれから増えていくと思いますね。

でもそれ以外で言えば、「シモヒガ140」に注目しています。これは下京区を盛り上げようとして立ち上げられた活動で、地元に根付いておもろいことをしようとされている方がメンバーとしても集まっているんです。下京区区長もとても協力的で、この活動を応援して下さっていますね。

──友添さんにとって、下京区の魅力は何ですか?

下京区、その中でも特に五条楽園のある菊浜学区の魅力について言えば、町家があんなに密集していて、その中に人が住んでいる、生きている町家の数と面積としては日本で一番だそうなんです。歴史あるこの町に、日本で一番の生きている町家があるというのは誇りですし、そこを守っていくために今はシモヒガ140でスーパーを作ろうとしていますね。

あの学区に住んでいる方はフレスコなんかで買い物をされたりするんですけれども、特におじいさんおばあさんにとっては買い物も遠くて不便なんですよね。そこで小さいスーパーを僕たちでしようとしています。こんな活動を続けることができたら、だんだん京都がセンシュアス・シティに近づいていくと思いませんか?

 

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今回のインタビューでは、友添さんにご自身のこれまでの活動や今後の展望、京都の魅力や理想の町についてお話いただきました。特に「センシュアス・シティ」で描かれる理想の町のかたちは生き生きとしていて、とても魅力的でしたね!京都をより「おもろく」し、センシュアス・シティのような生き生きとした町を作っていく友添さんのご活動、これからも応援していきたいと思います。

「センシュアス・シティ」については、以下のサイトからも内容を確認できます。独自の評価項目やランキング結果など、とても興味深い内容になっていますので、ご興味のある方はこちらもご覧くださいね。

  ▼LIFULL HOME’S 総研
  「Sensuous City[官能都市]―身体で経験する都市;センシュアス・シティ・ランキング」
  https://www.homes.co.jp/souken/report/201509/

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