SharingKyoto 事業 2019.07.25

【インタビュー】Vol.2 劉 賞美 さま(外国人観光客研究所所長)

このコーナーでは、私たちが京都やインバウンドで活躍されている方にインタビューして伺った内容をご紹介します!今回お話を伺ったのは、外国人向けフリーペーパー「EXPLORER MAP」の広告販売や「外国人観光客研究所」の所長をされている劉賞美さん。外国人の立場に寄り添って活動されてこられた劉さんから伺った内容を、ご紹介したいと思います!

<今回の話し手のプロフィール>

■ 劉 賞美(りゅう・しょうび)

高校卒業後、北京語言文化大学へ語学留学。2002年に中国の国営貿易商社の日本法人会社に入社。退社後は、中国語の個人/グループレッスン、日中語学交流会を主催・運営。パナソニックセンター大阪でのB to B通訳や、高島屋百貨店での訪日外国人対象の通訳アテンド業務を経て、株式会社エースブリッジに入社。在日外国人の生の声を聴き「今求められているモノ」を発信すべく、2010年より続いている「外国人観光客研究所」の所長に2017年7月より就任。

■ 外国人観光客研究所

https://inbound-lab.info/
2008年に創刊した大阪初の多言語観光マップ「EXPLORER MAP」の広告販売会社、株式会社エースブリッジが運営する訪日外国人観光客に特化した情報サイトです。EXPLORER MAPの広告販売を行い、様々な店舗様のプロモーションをお手伝いさせていただく中で得た、現場でしかわからない最新動向や集客・おもてなしのノウハウをブログという形で発信。

 

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まずは劉さんにこれまでの経歴や、この仕事を始められた経緯についてお伺いしました。

──簡単にこれまでの経歴を教えてください。

これは、どこから話せばいいのか分からないのですが(笑)
外国の方に日本のことを紹介するという仕事に携わったのは2002年からです。最初に勤めていた会社が中国企業の日本法人会社でアパレル生産管理をしていました。もともと「観光案内」という位置づけではなく、業務の一環で、出張で来日している中国工場関係者へ大阪を案内し始めたのがきっかけです。その当時は中国から来日する観光ビザが緩和される前だったので、案内していたのが、会社関係の方と、関西に住む留学生の家族など。今とは全くことなっていました。

──その後は、別の会社に入社されたのですか?

いえ、一旦はフリーランスで。
日本人に中国語を教えたり、中国の方のお買い物に同行したり、個人で動いている期間がありました。その延長で、日本の人に中国語や文化を伝えるということを始めたのが2010年です。観光客も増えて来て、教えて欲しいという方が多かったので・・・。 それが在日中華系の人も含めた交流会という形になって、今も活動はずっと続けています。その後は大阪のパナソニックのショールームにて、中華系企業向けの中国語通訳、大阪の高島屋では訪日観光客向けの通訳のお仕事にご縁があり、携わっていました。

フリーランスで活動している時期に、弊社が現在広告販売しているEXPLORER MAP(.当時はEXPLORER OSAKA)には出会っていて。大丸の心斎橋店さんに設置されていたマップを取って来ては、それを使って外国の方に大阪を紹介していたんです。(笑)

──どちらかというと、エクスプローラーマップを使う側だったんですね。

そうなんです。
EXPLORER MAP(旧EXPLORER OSAKA)が立ち上がって3年後の2011年は東日本大震災があった年。大阪では「がんばろう!日本〜大阪・関西から元気を!」と掲げ、当時の橋下知事のもと、「オール大阪」でインバウンド拡大に向けた積極的なプロモーションを展開していました。EXPLORER MAP(旧 EXPLORER OSAKA)メンバー(弊社代表 宮地も含む)もこの海外プロモーションへ同行するようになり、そのタイミングで、私はEXPLORER MAPメンバーと縁を持つようになりました。海外プロモーションの際に中国語が話せるように、中国語レッスンをすることになったんです。(数回で終わりましたが笑)

──それでは、どのタイミングでエースブリッジには入社されたのですか?

弊社代表の宮地が2010年に立ち上げた外国人観光客研究所がきっかけです。大阪のインバウンドについて、いち早く情報を発信しており、インバウンドセミナー講師などしている様子は以前から知っていました。私は企業の通訳に携わりながら、自分の一生の仕事として、「日本に来る海外の人に日本をもっと好きになってもらう為の仕事がしたい」、と考えていたので、宮地が発信している情報をいつも参考にしていたのです。これからインバウンドの方に向けて、自分がどのようにアクションを起こせるかを考えていた時に、大阪で長くインバウンドに関わっていた宮地にコンタクトを取ったのがきっかけで、2016年に入社をしました。

──今は劉さんが所長をされているんですよね。

そうですね、発信する側としてちょっと踏み込んだ情報を発信しています。
私は日本生まれ日本育ちなのですが、国籍は中国です。名前が劉というのもあって、生活する中で、外国人扱いされることはたびたびあって。日本の中で生活する外国人がどういう気持ちになり、どういう不便さがあるかとか、そういう感覚は分かるので。日本で「外国人」としてカテゴリ分けをされる人たちの気持ちに完全にではないですけど、寄り添えるほうではあると思うんですよね。「こう思われがちだよね」とか。

自分の実体験ではなくても、自分が今まで関わってきた留学生や、家族の事情で日本に住むことになった外国人の方が、日本でどういう生活をして、どういう対応をされているかなど、普段、彼女たちと話をする中で感じることもあります。なので、そういう目線で見る日本っていうのは、今の仕事をする上で活かされているとは思いますね。

──劉さんは日本で生まれて、中国に留学されていた時期がありましたよね?なぜ行こうと思われたのですか?

そうですね、実は私は中国語が一切喋れなかったんですよ。
日本にも中華学校はあって、そういった学校で中国語を習得している人はたくさんいるんですけれども、私は地元の公立へ行きました。というのも、中華学校に通っていた私の父は、地元の日本人との交流が難しく、日本人の仲間ができにくかったようです。そのこともあって、私達には日本人と同じように暮らせるように、日本人と同じ環境で生活して来ました。だから私はまったく中国のことが分からなかったですし、国籍は中国でも、一体自分は何者なんだろうと思うことはありました。

進路について考えている時に、従兄弟が中国に留学していたんですが、従兄弟から北京は毎日パーティーだと聞いて、留学を即決しました(笑)

実際に留学すると、私の留学先は外国人が中国語を学ぶ学校だったので、色んな外国の方に一気に出会うことができました。「国が違うとこんなに違うんだ」とか「中国ってこんな国なんだ、でも違う国の人もめっちゃおもろいやん」みたいな感じで毎日が刺激的でした。外国に出てからこそ分かる「日本」を知り、外国人ってそんなに特別なものではないんだなという事にも気付きました。海外に行った時に、現地の人との交流がきっかけで、その国の人を好きになったり、自分にとって特別な国になったり・・・といった体験がありますよね?私も留学している時に自分が良くしてもらったこと、嬉しかった気持ちが大きくて。今は、日本に住んでいる外国の方たちに逆の立場でお返ししたいなって思って色々関わっています。

幼いころや留学時の体験から、日本にいる外国人の存在に関心を持ち始めたという劉さん。現在のお仕事について、お伺いしました。

──現在劉さんは、主に「EXPLORER MAP」の広告販売やインバウンドに関するコンサルティングをされているんですよね。

そうですね。
みなさんインバウンド集客は難しいとおっしゃる方が多いです。というのも、すぐに効果が出ることをイメージされながらプロモーションを実施されたり、機能は確かによく見えますが、肝心のインバウンドの方に届かないプロモーションに費用をかけたりするので、「うまくいかなかった」という印象を持たれるんですね。

確かに難しいことは難しいです。一時のアクセス数などの上昇だけではなく、きちんと認知があって、お店にリピートがある、お客様が定着している、という状態まで築くのは時間がかかることです。10年前にインバウンド対応を始めたお店と、今から始めるお店とでは、インバウンドの方を取り巻く環境が異なるので、同じではうまくいきません。

しっかりとリピーターを作る為に必要なことは、実はすごくシンプルです。そして、積み重ねていくだけ。私たちは、ご相談を受け、それぞれの状況で必要なことをお伝えするコンサルティングをお仕事としています。お話を伺う中で、翻訳が必要であれば翻訳の提案をして、広告が必要であれば広告の販売をさせていただいてます。

──EXPLORER MAPには11年歴史があって、初期のマップは今と少し形が違っていたとお伺いしました。

そうですね、サイズの小さいものですね。
当初は大阪に外国人向けの地図がなくて、私がEXPLORER MAP(旧 EXPLORER OSAKA)を見たときはすごく衝撃でした。2008年に創刊されたのがこれ(初期のマップを見せながら)で、この心斎橋を紹介している見開きになる地図が2008年10月に発行されたんですけれども、これが大阪では外国人向けフリーMAPとして初めての物でした。弊社の宮地も含め、数人の仲間で立ち上げたのが始まりです。実際に外国人に見てもらうにはどうすればよいか色んな方のご意見をいただいて、中の地図をブラッシュアップしてきました。

──その後、大阪以外にも京都や奈良も紹介する冊子になっていったのですね。

そうですね、2012年に京都版EXPLORER KYOTOもできました。2018年4月の春号からは、大阪・京都・奈良エリアを合併させて1冊にまとめました。このEXPLORER MAP,現在では800箇所を超える設置協力先があるのですが、各号発行の際、宿泊施設様へは車にEXPLORER MAPを積んで、1箇所ずつ手配りでお届けしているんです。2008年の創刊から11年。3か月に1回、顔が見える手配り配送をずっと続けています。そのアナログさはすごいなといつも感心します。

現在、EXPLORER MAPは各号30万部発行なので、年間で120万部流通しています。宿泊施設だけでなく、大阪メトロさまや京都では「京なび」さんをはじめ、多くの観光案内所さまにも積極的に配っていただいているので、日本人の方でも見かけた事があるのではないでしょうか。

実は山口県の岩国米軍基地にも設置していいて、以前、米軍基地の方から「海遊館に行きたいんですけど、このマップに書いてある情報は本当ですか?」っていう電話がありました。本当だから載せてるんですけど(笑)「本当です!」ってお答えしたら納得されてました。きっとアメリカの軍隊の方も関西に来るときはEXPLORER MAPを持ってくれているんでしょうね。他にも個人の通訳案内士の方もこれを使って街を巡ってくれたりしています。

──当初エリア別だったマップが、他地域との合体版になった理由は何ですか?

大阪に来ている人は、京都にも行きますし、京都に行く人も関空を使う方が多いので大阪を経由して移動します。それだったら、一つにまとまっているほうが、旅行の間ずっと手に持ってもらえるので、エリアを統合して紹介する事にしました。所有し続けるというのはとても重要なんです。

──滞在中ずっと使ってもらえるというのはいいですね。

そうなんですよね。
MAPを使ってもらう為に、観光客だけでなくMAPを配ってくださる方など様々な声を毎回反映させています。とは言え、EXPLORER MAPはフリーマップなので、発行部数と広告費用との兼ね合いの中でできることを毎回考えながら、ブラッシュアップをしています。

──ガイドブックやウェブサイトもありますが、マップがあることで、楽しみ方の幅が広がると思いますね。

そうですね。
例えば、自分が旅行したときに、色々使い込んだものとか、使い込んだ冊子等は、何となくその場で捨てずに、持って帰りたくなりませんか?そして、忘れたころにスーツケースから出てきて、「ここへ行ったなぁ」っと、振り返ったり。。。そういう旅後の思い出も、旅行者たちに残っていればいいなと思っています。

実は去年、実際に昔のEXPLORER MAPを持っている旅行者がいて、「どこでもらったんですか?」って聞くと、友達から「このマップいいよ」ってもらったものでした。旅行者の想いがのって伝えられていて嬉しかったです。内心では「それ古い情報やけどな」と思ってましたが(笑)

──「Sharing Kyoto」はウェブメディアですが、EXPLORER MAPは文章や写真、地図の情報が一体になっているところが良いなと感じます。劉さんから見て、紙媒体とウェブ媒体のそれぞれの良さについては、どう考えられていますか?

ウェブは幅広い人たちへ伝えることができ、そしてとことん深く調べることができるじゃないですか。紙はどうしても手に取ってもらった方にしか伝えることができず、しかも「紙面の枠内」の制限がある情報になります。ただ、ウェブは流れる情報で、無限の情報があるからこそ、全体を捉えるのが難しい側面があります。

一方で紙の役割は、無限に対して有限。限られた範囲の中で収められている情報だからこそ、目に止まり、全体を把握したり自分の頭の中に落とし込むことができます。まずは全体を紙で把握して、自分の知りたい事、興味の方向性を決めて、ウェブで更に深く調べていく。両方の特性を活かしていけるのが一番いいと思っています。

最近では多くの企業でペーパーレス化が進み、効率を考え、ウェブだけで処理することも多くなりました。ただ、注意して何か確認したい事があるときは、印刷して紙でチェックしたりしませんか?やはり人の感覚として、視覚だけではなく、手に持って見て、五感を使って確認ができるものは必要だと思っています。ウェブの効率の良さと、人の五感に働きかけ印象に残すアプローチは、どちらかだけでいいと言えるものではないと思います。

──やはり旅行に行くときは、両方で情報を集めたいなと思いますよね。

もしかしたら10年後、20年後の人間の感覚って全然違っているのかもしれないですけれども、私はアナログな感じで人の印象に残る、体に残る感覚っていうのは、信じたいなと思っています。

──では、この仕事をされていて、よかったと感じられるところは何ですか?

この仕事を始め、何故か(笑)Facebookの友達が増えました。国籍関係なく、街で困ってそうな旅行者や、面白そうな方がいると、割とすぐに声をかけてしまうので。色々話し出すと、気が付けば連絡先交換になり、旅中に日本旅行について質問が来たりします。

国籍関係なく、旅行者側にも旅行者受け入れ側にも興味を持つようになったので、世界をより近く感じるようになりました。結局、旅行して嬉しいと思うことや、不安に感じることは私が旅行する時と変わらないものですよね。

──そこで生の意見を聞くこともできますね。

そうですね。
実際にEXPLORER MAPを持っている人に対して「これどう?使いやすい?」と感想を聞いたり、逆に「This is my job!」といいながらMAPを渡したりする時もあります。(笑)怪しいでしょ?お陰で街にも詳しくなりました。

──これから仕事でしたいと考えられていることはありますか?

もちろん、個店それぞれへの悩み事へのアプローチもそうですが、エリアごとに街を楽しくしていく事にも携わっていきたいと思っています。人気スポットへ足を運んだら、それで終わりではなく、エリア全体が遊びきれないくらい楽しめる場所であれば、「行き尽くせなかったから」またそこに足を運びたいと感じれると思うのです。「行き尽くせなかった。まだ行きたいところが残っている。」・・・だから、「もう一度足を運ぶ。」そういう流れを作るお手伝いができればと思います。

──例えばどういったエリアを考えられていますか?

そうですね、例えば梅田エリアとか。
梅田エリアは、日本人は大阪の中心街として認識はありますが、海外の大阪を紹介しているサイトを見ると、情報が十分でありません。

交通の便の良さや、街の規模感は紹介していたとして、そこで何が体験できるかをイメージしにくい紹介が多いです。

確かにいいホテルが多いので、宿泊されている方は多いですが、「梅田を起点に他のエリアへ移動をしている」方が多い印象です。ミナミエリアとは違って、メイン通りをベースにした紹介がしにくいエリアだからこそ、ランドマークになるスポットをつなげたエリア(面)発信が、まだその場所を知らない方にとって伝わりやすいと思っています。

この様に、それぞれの地域の特性を見ながらエリアを発信して行ったり、また大阪から行ける他府県の提案にも携わっていければと思います。たとえば神戸や、淡路島、ほか離島とか。一度大阪に来たから、もう来ないのではなく、大阪から行ける様々な場所にも魅力があるから、また訪れたいと思ってもらえる様に、関西に訪れる外国人向けの、関西発信の楽しい提案はどんどんしていきたいなと思います。

 

最後に、劉さんの立場から見た日本のインバウンド対応状況について、お伺いしました。

──現在日本にはたくさんの外国人が来られていますよね。現在のインバウンド対応状況については、どう思われますか?

「インバウンド」が注目される様になって、良かったと思う事と、逆に違和感を感じる事と両方あります。

まず大前提に、外国人に対して無意識に壁を作ってしまう日本人特有の感情があるからなのですが・・・(全ての人ではないですが、私がインバウンド関係なく日本で暮らす外国人として常に感じることです。)「インバウンドはこういうものだろう」という考えが一人歩きして、頑張りすぎているお店やサービスを提供している場面をよく見かけます。

──確かに、インバウンドに対して固定概念を持っている人は多いように思いますね。

逆に、海外に暮らしていた経験があったり、海外へ旅行によく行く人が経営しているお店に行くと、決まってもっと「普通・自然体」なんです。

要は、日本人でも外国人でも関係なく「ここに来て良かった」と思ってもらえるために出来る事をしているだけ。喜んで貰うために、必要であれば翻訳するとか、文字がわからなくてもわかる様に写真やイラストを使うとか、「言葉・習慣が違う」ことに対して、出来る事を出来る範囲でやっているだけ。「喜んでほしい」と思う気持ちがあれば、言葉が通じていなくても伝わるものです。

それを「インバウンドはこれをやっていれば、喜ぶだろう」と流行りに乗って「やっとけばいい」気持ちで、外国人に対して壁はあるままでサービスを提供している場所も散見されます。見ているのは「人」ではなくて、ビジネスなんだろうなぁと感じます。お商売なので仕方ありませんが、ただ、リピーターがつくお店は決まって、「人」を見ている気がしています。

また、日本人にとって文化・習慣上当たり前だったものが、文化・習慣が異なる外国人からすると「新しい・珍しい」ものとなり、価値を感じるものとして注目をされる様になりました。もう一度、「日本らしさ」を考え直し、それを大事にする場所が増えるのは、日本が日本らしくあるいい機会だと感じて、様々なお店を見ています。これはインバウンドが注目される様になって、良かったと思う点です。

──「外国人から見る日本」が以前よりも意識されるようになりましたね。

そうですね!
今、私は多くの外国の方が居る日本だからこそ、他を尊重しつつも日本らしさを大事に思える「共存」する日本へ変わる過渡期にあるんだと思っています。これだけ一気に海外の情報が簡単に共有できる時代になり、だからこそ、多様な価値観を以って自分を知ることができる時代に変わって来ていると思います。

そして、これだけ急激に目の前に外国人の方がいらっしゃる環境になって来て、日本の人がだいぶ外国人に慣れて来たなぁという実感もあります。外国人に慣れてなかった方の外国人への壁が解けて、外国人を受け入れる人たちが増えていくことで、興味を持ち合えるのはいいことだと思います。

──それでは劉さんにとって、インバウンドにおいて理想の状態とは何でしょうか?

少し範囲が大きくなりますが、一言でまとめると、日本らしさを大事にした「共存」です。観光客だけにとどまらず、日本に住む海外の国籍を持った方が、日本という国をもっと楽しめて、日本らしさに感動して、「暮らしたい」「もう一度来たい」と思えるように、お手伝いができればいいなと思っています。

その為に、私たちの会社エースブリッジでは、コンサルティングで道筋をつくり、必要なプロモーションのお手伝いをして、外国人観光客研究所では外国の人を「知ってもらう・興味を持ってもらう」ための情報発信をしています。

──国籍や信条に関わりなく、京都を多くの人に楽しんでもらいたいというのがONE KYOTOの考え方ですが、劉さんのお考えと似ている気がしますね。

私が考える理想の状態は、ONE KYOTOさんと同じだと思いますね。日本人と外国人の「共存」というのが大きなテーマとしていて、そのためにできることをいつも考えています。

──その上で、大阪と京都でインバウンド状況に違いはあると思われますか?

やはり京都は、歴史があり、脈々と受け継がれて来た文化を感じることができます。漢字で表すと「静」。「静」の中にある癒しを、自然と歴史的な環境から得ているイメージです。そして、積み重ねて来た文化・習慣をベースにお店が成り立っているので、それだけで十分なコンテンツとして人々を惹きつけるんではないでしょうか?

そこに感動して、感動を共有をしたくなる。どこを撮っても絵になる、口コミをしたくなる感動体験のポイントが多いので、自然と拡散されている場所が多い印象です。旅行にリラックスを求める傾向がある欧米人の方が大阪と比べると圧倒的に多いです。

では大阪はというと、京都の「静」と対比して「動」。もちろん歴史的な場所もあるのですが、大阪で求められているのは「癒し」よりも「刺激」ではないでしょうか。新しいものを取り入れている街なので。

外国の方からすると、大阪の印象は「食の街」とか「何でもある街」、これは特にアジア圏の方にとって「買い物の街」。道頓堀や心斎橋エリアは既に多くの方がSNS発信をしていて、エリアとしての知名度もあります。ただ、大阪の場合は他のエリアの認知はまだまだ弱いので、エリア発信は必要かと感じています。

──大阪の南のエリアは訪日外国人に人気のエリアですが、他のエリアも知ってもらえるようになるといいですよね。

観光客にアンケートを取ると、だいたいUSJ・大阪城・道頓堀・海遊館で大阪は行き尽くした、という声を聞きますが、まだまだ情報が足りないだけだと思っています。どうしても、観光客は旅行先の情報をウェブで調べる際、既に投稿数が多いエリアが目につくため、なかなか認知の低いエリアは気付いてもらいにくいものです。

子連れ・お年寄りのいる家族連れには道が整っている梅田エリアが快適だったり、ちょっとずつを食べ歩くのに楽しいエリアがあったり、まだまだ認知を高められる場所はあります。

──外国人の方は意外と、私たちが普通に感じていることを体験したいと思われていたりするんですよね。

そうですね!
最初の話に戻りますが、私たちの「普通」が既に外国の人からすると「面白い」ものなんです。「海外に行く」とはそういうものです。私たちの「普通」。つまり、日本が積み重ねて来た文化・習慣に価値を感じ、旅行者はそれを体験したいと思っているので、特別じゃなくてもいいと思っています。

ただ、多様性を尊重しつつ、日本らしさを大事にするという意味で、「他の国の文化に興味を持ってみる」ことは思いやりだと思います。「冷たい水を飲む習慣がない国」を知ることで、少しの心配りと、「日本ではそういう文化がない」と言うふうに、他を知って、また日本を再確認する。ような感じ。

意外と、改めて日本の良さに気付いたりして異文化に興味を持ってみると面白いものですよ!

外国人の方々とも関わっていくことで、今まで「普通」と思っていたことを「特別」に感じることができ、それは結局は日本の良さを再確認して、隣にいる人たちに対してどう接するかを見直すことにつながっていると、いつも感じています。

 

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全3回のインタビューを通じて、フリーペーパーという紙媒体の可能性や、日本人と外国人の共存についてお話をお伺いしました。日本に来られている外国人が増えている今だからこそ、日本人と外国人との関わり方について改めて見直して、より良い関係性を築いていけるといいですね。

劉さんが所長を務める「外国人観光客研究所」では、インバウンドについての理解を深める手助けとして、サイト上で随時インバウンド情報を発信されています!ぜひご覧になってみてくださいね!▼
https://inbound-lab.info/

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