SharingKyoto 事業 2019.07.22

【インタビュー】Vol.1 (一社)ムスリム関西インバウンド推進協議会さま

このコーナーでは、私たちが京都やインバウンドで活躍されている方にインタビューして伺った内容をご紹介します!今回お話を伺ったのは、一般社団法人 関西ムスリムインバウンド推進協議会の代表理事・理事を務めるお二人。ムスリムと仕事を続けてこられたお二人から伺った内容をご紹介したいと思います!

<今回の話し手のプロフィール>

■一般社団法人 関西ムスリムインバウンド推進協議会 

http://kansai-muslim.org/
日本を訪れるムスリム旅行者だけでなく、日本で暮らすムスリムがより日本を楽しめるように、また暮らしやすい日本になるための活動を行っている。そのために、ムスリム向けビジネスのサポートやコンサルティング、セミナー、ムスリムとの交流イベントを実施するなど、日本人とムスリムとの相互理解を深める活動を幅広く行っている。

■代表理事 梶川佐穂子(かじかわ・さほこ)

大阪外国語大学卒業(現大阪大学外国語学部)。大学ではアラビア語を専攻、エジプトのカイロに留学する。2013年行政書士登録、許認可業務を主に扱い、特に入管業務を専門に扱う。顧客の多くはムスリムで、在留資格の相談の他、日本での暮らしについても相談を受けている。

■理事 宮下 貴広(みやした・たかひろ)

法政大学社会学部社会学科卒業。在学中は、国際政治、特に中東の政治史を専攻。大手証券会社、経済団体、アパレル ベンチャー勤務を経て、インドネシア、イラン、マレーシアなどの「イスラム圏専門商社」である株式会社ヴィタリテを2006年に創業。工業原材料、機械、機械部品、食品等、幅広い商材の輸出入を行う。

 

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まずはお二人に、この仕事を始められた経緯や、ムスリムに興味を持つようになったきっかけをお伺いしました。

──梶川さんがムスリムに興味を持たれたきっかけは何でしたか?

梶川:私が小学校くらいのときにちょうどツタンカーメンのブームがあって、子供用の雑誌でそういう記事を読み、エジプト文明に興味を持ちました。最初は考古学、いわゆるオリエンタルと言われるものがすごく好きだったのですが、そのうち中近東全体に興味を持つようになり、必然的にイスラームについても調べるようになりました。

中でもエジプトについて関心が高く、その文化や歴史を調べるうちに現代エジプトの暮らしや思想についても知りたいと思うようになりました。大学進学時にはアラビア語ができればエジプトに行けると考えて、アラビア語を専攻できる大阪外大に行くことになりました。

──実際、その後はエジプト留学に行かれたんですよね。その留学が、ムスリムの方と交流されるようになった最初のきっかけですか?

梶川:エジプトに行く前にも、日本にいるムスリムと会うことはありました。大学には当然中東からの留学生もいましたので。でもムスリムと友人と呼び合える関係を持ったのは1年弱カイロに留学したときが初めてでした。

──そこからすぐに今の仕事を始められたわけではないですよね?

梶川:アラビア語と中東に対して興味を持っていたのは変わらないんですけど、マイナー言語によくある話で就職先がなくて。その当時大学に来るアラビア語の求人は基本男子のみでした。結局、アラビア語と全然関係のない仕事をして、普通に会社勤めをしていましたね

──宮下さんは、ムスリムに興味を持たれたきっかけは何でしたか?

宮下:僕は高校のときは国際ジャーナリストになりたかったんですよ。落合陽一さんのお父さんである落合信彦さんという方が国際ジャーナリストで、彼から影響を受けたことがきっかけでした。彼の本を読むようになって、世界に目が向くようになって、その中でも特に中東の話が多かったため、必然イスラム教は避けて通れなくなったというわけです。

そうしたこともあって、国際政治が勉強できる法政大学社会学部に入ったんです。僕はイスラエルについて勉強したかったんですけど、友達が先にイスラエルを選んじゃった(笑)のでエジプトを勉強することになりました。歴史もあるし、また中東戦争にほぼ全て関わっている国なので、エジプトでも良かったんですけどね。2年生から研究をずっと続けて、卒論のときは張り切ってエジプト大使館でインタビューとかアンケートまでやったら、先生からはこれは卒論じゃなくてルポタージュだと言われてしまいました(笑)

──卒業後は、中東に関わる仕事に就かれたのですか?

宮下:いえ、それだけ頑張ったのに、結局就職は中東とは関係のない仕事についたんです。ですがその後色々あって、2006年に友人と会社を設立することになりました。NGOの仕事でイランに赴任していた友人から、イランで何か面白いことをしたいと誘われて、初めてイランに行ったんですよ。これまで勉強はしていたけど、聞くのと実際に見るのは違っていて、色んな意味でカルチャーショックも受けましたね。

それでも面白そうだからやってみようという気持ちになって、株式会社ヴィタリテという貿易会社を設立して、イランとの貿易に乗り出したんです。それ以来、13年間ずっとムスリムが商売相手であり、パートナーであり、時にはライバルになるという環境でした。

そんな中で梶川さんたち、関西ムスリムインバウンド推進協議会と出会って、面白そうだからとお手伝いをちょこちょこしているうちに、どんどん深みにはまっていって、今は理事になってしまったというわけです(笑)。

 

一旦は違った分野で仕事をしながら、現在はムスリムとお仕事をされているお二人。現在の協議会での活動についてお伺いしました。

──現在の協議会の活動内容を教えてください。

梶川:定例会はほぼ月1回のペースで開催しています。ムスリムに関わらず、インバウンドのビジネスに関わっている様々な講師をセミナーにお呼びして実施しています。ムスリムについて初めて勉強したけど、こんな感じなんだなって、参加者の方のハードルを下げてもらうのが、定例会をしている目的の一つです。

宮下:あとは交流会も。

梶川:そうですね。ムスリムとノンムスリムの交流会ということで、ムスリム向けのレストランに集まってご飯を食べながらゲームをしたり、モスクに行ったり。そこで実際にムスリムのお祈りを見たり、実際にお祈りをしているところに座って、ムスリムについてのお話をしたり。

日本では、メディアの影響もあって、ムスリムやイスラム教というと、テロとか戦争といったネガティブなイメージがまだまだ強いと思うんです。「知らない」ということが、恐怖のもとになると思うんです。でも実際に触れあってみたら怖くなかった、楽しかった、自分たちと同じなんだなと思ってもらえれれば、交流イベントとしては成功だと思っています。

──その他にも、相談会や警察署への講演をされているとお伺いしました。

宮下:無料の相談会はカフェでしましたね。

梶川:今後ムスリムからの相談も増えてくるということで警察からご依頼いただいて、警察官向けのムスリム対応セミナーをしました。

──先日はドバイに行かれたそうですね。3年連続で行かれているとか。

梶川:はい、Arabian Travel Marketという中東最大の旅行博に、ここ3年毎年行っています。いつも着物を着て行くので、大変なんですよ(笑)。過去2年、着物の色柄のパターンを変えて着て、現地の方に好まれる色使いや柄を調べました。その経験を活かして今回は白地に青で大きく柄色が入っているものを選びました。今年は去年よりも、「どこから来たの?」とか「一緒に写真撮ろう」とか声をかけられる回数が断然多かったんですよね(笑)

──今ではこうしてムスリムとたくさん仕事されていますが、最初にムスリムと仕事されたときは不安はありませんでしたか?

梶川:対ムスリムだからという不安はなかったですね。私の場合は(行政書士という仕事のため)法律の要件に当てはまるのかという不安はありましたけど、ムスリムだからという不安はなかったです。

宮下:僕も不安は全くなかったですね。最初からムスリムと仕事していたので。会社の設立メンバーにイラン人も実は入ってるんですよ。やっぱり仕事をするうえでは結局、ムスリムだから、何人だからということはあまり関係がなくて、その人となり、人間次第なので、ムスリムだからということで特に気を遣うことはありませんでした。

──では、ムスリムの方と仕事していてよかったと感じることはありますか?

梶川:やっぱり、ムスリム対応してくれる飲食店さんができたときはムスリムに喜んでもらえて、嬉しいですね。ムスリムに情報が届いていないことも非常に多くて、ムスリムでも安心して食事できる場所を教えてあげるだけですごく感謝されます。食についての情報がいかに大事か、ということはすごく感じますね。

宮下:ちょっとしたことで喜んでくれることがありますね。

梶川:あとは、交流イベントを実施すると、喜んでくれます。他の外国人の方や日本人と喋りたいけど、どう接していいか分からないっていう方もやっぱりいるんだと思うんです。そんな中で、イベントをするとすごく喜んでくれるんですよ。場所もムスリムフレンドリーのレストランで実施すると、何を食べても大丈夫なので。

 

最後に、ムスリムと長く働かれてきたお二人の視点で、日本や京都でのムスリム対応について、お話をお伺いしました。

──飲食店などで欧米や中国の方とは交流する機会は増えてきましたが、ムスリムと接する機会は普段多くない気がしますね。

宮下:飲食店にしても、コンビニにしても、何かを食べようとしても、何が入っているか分からないからムスリムは食べられないんですよ。おにぎりなども具材が日本語でしか書かれていないので理解できない。

彼らは基本何が入っているか分からないものには手を出さないんです。よっぽど倒れそうだったら食べるし、それは認められています。でもやっぱりムスリムにとって、ムスリム対応していない飲食店には行きづらいから、私たちも彼らを見かけないんだと思います。

──Sharing Kyotoに掲載しているハラールのレストランの記事も右肩上がりでPV数が増えていて、関心が一層高まっている気がしますね。ではお二人から見て、京都でのムスリム対応の現状はいかがでしょうか?

梶川:まだまだ少ない。もっと増えてほしいですね。

──東京や大阪と比べて違いはあると思いますか?

宮下:個人的には京都のほうがやりやすいのかな、と感じますね。精進料理などであれば、動物性の具材を使っていないことが多いので、対応してもらいやすいんじゃないかなと感じるところはあります。

梶川:ムスリム対応できているお店が繁華街から少し離れているのは、不便ですね。便利な場所にもうちょっとできるといいなと思います。

あとどうしてもラーメン・焼肉・インド料理という風にバリエーションが限られてしまうので、段々リピーターが増えてきたら、バリエーションも増やして欲しいです。

それに、ムスリム対応レストランはきちんとした雰囲気のお店が多いので、もうちょっとカフェなどカジュアルに気楽に食べられるお店があるといいなと思います。サンドイッチがテイクアウトできるとか。お天気がよければ外で食べたい人もいるかも。

──安心して食事するのも難しいなかで、ムスリムに京都を十分楽しんでもらえているのか、少し心配ですね。

梶川:もちろんそれぞれの好みもあるので一概には分からないんですけど、東南アジアに関してはリピーターも増えているので、よかった、また日本を体験したいという方が一定数いるのではないかなと思います。中東に関してはリピーターももちろんいますけど、東南アジアに比べるとまだまだ少ないですね。

──リピーターが増えているということですが、これからも京都に来てもらうためにも、ムスリム対応は進めていきたいですね。

宮下:今のうちからやってもらいたいですよね。今たくさんの方が日本に来てくれていて、チャンスなので。今のうちにやっていかないと、周辺の国に観光の競争で負けてしまう。だから今から対応を進めてほしいというのは正直思います。

──今後新しく始められることはありますか?

梶川:これからは、ムスリム対応をしてくれた店舗に送客でももっとサポートがしたいです。お店がムスリム対応をしてくれても、結果としてムスリムのお客さまが来ないというのは本意ではないので、責任をもってムスリムを更に送客したいと思っています。そうすればお店にとっても良いし、来てくれる方にとっても良いことだし、弊会にとっても存在価値になるのかなと思っています。

 

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今後もどんどん多様化が予想される京都。国籍や信条に関わらず、様々な人に京都を楽しんでもらえるように、今のうちに対応を進めていきたいところです。

協議会の詳細や、毎月実施されている定例会については、以下のFacebookページからご確認いただけます!ムスリムや協議会の活動についてもっと知りたい方は、こちらからご覧ください!▼
https://www.facebook.com/kansaimusliminbound/

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