コンサルティング事業 2022.03.15

はじめてのSF思考とPPPP図

違和感を感じたのは、午後1時ごろだった。
あまりにも、あまりにも、人が来ないのである。
改めて時計に目をやる。4月6日の午後1時12分。なのに誰も来ない。
例年であれば日に10人いてもおかしくないのに、である。

「今年はまだ、誰も産まれていないんですかね」
不安そうに隣から声がかかる。
ここは市役所。私は出生届の窓口なのである。

この年、初めての仕事は10月に入った頃だった。

これはなにか

SF思考を通して「望ましい未来を創る」ことについて考える記事です。SF思考とは?望ましい未来とは?創るとは?それぞれ考えます。

この記事はおよそ3分程度で読み終えることが出来ます。3月に一番流れるであろう「主よ、人の望みの喜びよ」を聴きながら読むと、ちょうど終わるころに読みおわります。

「未来」とはどういうものか

「未来」と聞くとどういったものを想像するでしょうか。空飛ぶ車、ホログラム、猫型ロボットなどでしょうか。それとも、20年後の子供の姿、1年後の自分、今日のご飯のこと、などでしょうか。

2冊の書籍から、未来に関する見方を紹介します。

1冊目は、『未来は予測するものではなく創造するものである』(樋口恭介 著 / 筑摩書房)です。樋口氏は、未来には次のような2つの側面がある、と言います。

・主観的な未来
・客観的な未来

前者は、人が夢見るコントロール可能な未来で、後者は、物理法則によって引き起こされる(災害や疫病といった)コントロール不可能な未来、であると。

その上で、「未来は予測するものではなく、Speculation(思弁・思索・投機)するものだ、ととらえ」る、としています。

2冊目は、『スペキュラティブ・デザイン』(アンソニー・ダン&フィオナ・レイビー著 / BNN新書)です。下の図(PPPP図)をご覧ください。現時点から4つの未来が分かりやすく図式化されています。

起こりそう(Probable)な未来、起こってもおかしくない(Plausible)な未来、起こりうる(Possible)な未来、そして望ましい(Preferable)な未来です。

この本は、4つ目の望ましい未来について考えています。「デザインを通して、企業・都市・社会にとって望ましい未来を定義することに興味がある」「デザイナーの役割とは(中略)真に望ましい未来について全員で話し合うきっかけとなるような、幾通りも未来を描くことだ」と言っています。

その上で、「未来予測は不可能だが、より望ましい未来が実現する確率を高めるような芽を、今のうちに植えておくことはできる」としています。

以上、2冊の書籍から未来についての説明を引用しました。2つを融合し、以下では「未来」=「主観的な望ましい未来」とします。どちらの本でも、未来は予測できない、だから創る、というスタンスが明確です。

 

「SF」とはどういうものか

冒頭に短い文章を書いていました。私はSFを読むのが好きなので、「こういう設定面白そうだな」と考えることがあります。この文章は、SFだと言えるでしょうか。そもそも、SFとは一体なんでしょうか。

SF = Science Fiction(科学的小説)というのが一般的ですが、Speculative Fiction という言葉が当てられることもあるそうです。

Speculativeとは、思弁的・思索的・投機的、という意味を持つ言葉です。樋口氏によれば、科学的(Science)でなくとも「ここではないどこか」が描かれたものはSpeculative FictionとしてのSFと言える、とのことです。(集合で考えると、「科学的」は「思弁的」に含まれる)

この意味で、冒頭の文章は科学的なものを(この時点では)含んでいない、ただ単純に「ここではないどこか」を描いた作品という意味で、SFと言っても良いかもしれません。

ということで、以下で「SF」と書いた際には、Speculative Fictionを指します。

「天下布武」という織田信長のSF

ひとつ、SFの実例を挙げてみようと思います。織田信長の「天下布武」です。

織田信長といえば、歴史上最も有名な戦国武将の一人です。本能寺の変で明智光秀に討たれた、2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」で染谷将太さんが演じた、私の誕生日が命日の、あの織田信長です。

信長は、永禄10年ごろ、美濃を平定したころから「天下布武」という印を使っていました。「天下を武で布く」という意味で、信長の掲げた理想として有名です。当時はまだ尾張と美濃を治めた程度の大名でしたので、SFと言っても過言ではありません。

実際、このSF(天下布武)を実現するかの如く、信長は天下人としての道を歩んでいきます。

天下をとる、と聞くと全国統一、全国というと東北から九州まで、というイメージを持っていたのですが、当時の「天下」は京を中心とした五畿内(山城大和河内和泉摂津)だったとされます(『織田信長 / 神田千里 著』)。そのため、翌年には将軍義昭のもとで、実際に天下を治めることになっています。一般的に、信長は天下をとれずに死んだ、と言われることもありますが、実際はそうではなかったのかもしれません。

さて、信長についてですが…

SF思考で未来を創る

話を本題に戻します。SFとはSpeculative Fiction、「ここではないどこか」を描いたもの、でした。

樋口氏は、SF思考という考え方について、以下のように書いています。

『Speculativeであること。「ここではないどこか」を望むこと。本書が前提とし、本書が目的とすることはその一点であり、それ以外にはありえません。そのように、つねに「オルタナティブ」を思考する/志向する考え方をして、本書では<SF思考>と呼びます

改めて、日常を振り返ると、私たちはときにSF思考を駆使しています。仕事で提案をするとき、買い物をするとき、愛の告白をするとき。近づきたい未来は何か、どうすれば未来に近づけるか、ということを(意識・無意識問わず)考えています。そして、プランを立て、アクションをしています。

#未来に残さない偏見  国際女性デー2022

ここで一つ、具体例を挙げたいと思います。

#未来に残さない偏見|ジェンダーに関わるバイアスを知ろう

先日、3月8日は国際女性デーでした。さまざまな取り組みが行われていましたが、Googleによる「#未来に残さない偏見」という取り組みへとても共感したため、取り上げます。

詳細についてはサイトで確認いただくとして、どこに共感ポイントがあったか。それはもうお分かりだと思いますが「未来」です。

この取り組みでは、女性(今を生きる、これからを生きる)にとって望ましい未来のため、今の世に蔓延る偏見を残さないという強いメッセージが発せられています。

私自身も親として、子供たちにすこしでもいきやすい社会を贈りたいという思いがあり、とても共感しました。

この取り組みも、「ここではないどこか」を描き、そのためにどういったアクションができるか、ということを考えたのではないか、と思います。まず現状を正しく、個人レベルで認識することから、そして他人にも意識してもらおう、という地点からの出発です。そして、「起こりうる」ネガティブな未来から「望ましい」未来へ向かっていこう、そんなメッセージを感じました。

さいごに

「未来は予測するものではなく創るもの」である。このスタンスに立つことで、これまでなんとなく抱いていた未来に対する不安感が消えていった感覚があります。

「この服に似合うコーディネートをしよう」「この会社で活躍していこう」「自分の成果をしっかり伝えていこう」。これらも、何もしなければ起こり得ない、今は無い未来を自分(達)の力で創ろうとしていることだといえます。

そして創ろうとする未来は、起こりそう(Probable)な未来ではなく、望ましい(Preferable)未来だということも大事です。

この時期は4月からの新しい生活に向けて準備をしている人がたくさんいると思います。かくいう私もその一人です。ワクワクしていたり、不安でいっぱいだったり、気合い十分だったりと、さまざまな感情が寄せては返す日々ですよね。そんなみなさんにとって、この記事が少しでも参考になり、一人でも多くの方が、少しでも良い未来を創ることの手助けになれば私としては嬉しいです。

まとめると、SF思考とは「望ましい主観的な未来を創るための思考法」ということだと思います。SF思考を駆使し、みなさんの思い描く未来を創り上げていきましょう。

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お会いできる日を心待ちにしています!一緒に未来を創っていきましょう。

参考文献

『未来は予測するものではなく創造するものである ――考える自由を取り戻すための〈SF思考〉』 樋口恭介
『スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。—未来を思索するためにデザインができること』 アンソニー・ダン&フィオーナ・レイビー
『織田信長』 神田千里

 

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