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島袋 圭太
烏丸六角ディレクション研究会
島袋 圭太
2017/08/31

セミナー参加レポート『オブザベーション』UX KANSAI 2017.7.8

セミナー参加レポート『オブザベーション』UX KANSAI 2017.7.8

京都は六角堂(横のビル)からこんにちは。Webディレクターの島袋です。
UXデザインを学ぶべく参加した、とあるセミナーの参加レポートです。

いくつか気付きがあったのですが、個人的には「UI上の問題は必ずしもUXの問題ではない」という発見が大きかった。。。日々の業務にも活かせそうな視点を得ることができました。


UX KANSAI主催のセミナー

UX KANSAIとは?

UX KANSAIはUXD/HCD/サービスデザインをキーワードに、大阪・京都・兵庫・滋賀など関西全体で連携しながら学び合うコミュニティです。
http://uxkansai.org/


何をするの?

全9回の講義とワークショップを実施。UXデザインの基礎的な実践スキルを身につけます。講師は経験デザイン研究所(UXD-Lab)代表取締役所長の浅野智氏(豪華!)。


今回の学び

最終的なゴール「イノベーションの機会を発見」するアプローチを、座学と実践を通じて学びます。具体的には以下の通り。


1.定性的な事実を自分の目で捉える。感情移入し、仮説を持たず事実を基に考えを深める(探索的情報収集)

2.事実の関係性を探り背景を推測する(概念化)

3.課題の定義・改善案の発見(仮説生成)


使用するメソッドは、1のメソッドとして「オブザベーション(行動観察)」を、2・3は「上位下位関係分析法」を使用(有名なもので、KJ法やカスタマージャーニーマップがあるけれど、これらよりハードルが低いとのことでした)。


今回のテーマ「オブザベーション」

モノやサービスを作る時の初手は、ユーザーニーズの正しい把握。オブザベーションはその初手にあたるもので、質的調査のひとつ。
実はこの質的調査。いくつか種類がありました。


調査の種類

1~3が質的調査(今回は2がテーマ)。「何が分からないか」すら分からない潜在的なニーズについて、生の声や行動など数値化できないデータを収集して分析する。

1.社会生活への参加(参与観察)
2.対象社会の生活の直接観察(オブザベーション)
3.社会生活に関する聞き取り(エスノグラフィックインタビュー)
4.文書資料や文物の収集と分析(文献調査)
5.出来事や物事に関する感想や意味付けについてのインタビュー(回顧法インタビュー)

※とっつきやすい「文献調査」は質的調査じゃないよ(そりゃそーだ)
※少し逸れますが、5つめのインタビューについて。「思い出してもらいながら喋ってもらうと必ず嘘が入る」というお話しがありました。聞けば納得、確かにそうだ。気になる方はUX KANSAIに参加すればいいw

左上の領域が今回のテーマ
左上の領域が今回のテーマ


質的調査の目的

大きく2つ。1つは現状分析(今あるサービスの分析と改善)。もう1つは何だか分からない将来のこと、新しいコンセプトを開発する。質的調査でこの2つをばくっと達成しちゃう。


課題は「ゼリーのパッケージを考える」

30分ほどの講義を経て、いざ実践(グループワーク)。課題は、コンビニに置くゼリーの新パッケージの開発(内容物の変更は行わない)。まずは、メンバーの役割分担。

●被験者…サービスを利用するユーザー。実際にゼリーを食べる。
●モデレーター…被験者に質問したり発話を促したり。
●記録役…被験者の行動と発言、それぞれを記録する。

被験者はもくもくとゼリーを食べる。感じたことをブツブツと発話する。モデレーターはほれほれぇと被験者を焚き付ける(過度な干渉はNG。発話をサポートする感じ)。記録役はただただメモる。どんどんメモる(ここでは仮説を持たずに、ただただ事実を可視化する)。
以下、ワークでハマってしまった3つの落とし穴(ほんとはもっとありますが)


落とし穴1:「モノ」にフォーカスしちゃう

メンバー全員が「問題を発見しよう」と意気込み、あらゆるものが問題に見えてしまう。本来意識しなければいけないのはユーザーの気持ちなのに、主にUI上の問題、モノにフォーカスして見ちゃう。

「フタが明けにくい」
「ゼリーが手に付く」
「さくらんぼの種..」

など。これらは確かに問題だけれども、本質的な課題ではない。
多少の使い辛さは人は慣れ(訓練)で克服してしまう。なので、そんな瑣末なことにアプローチしても、ユーザーの本質的な満足は得られないと。


落とし穴2:「問題見つけたろ」バイアス

「では観察しましょう」と言われると、ついつい「問題はどこだ?」ってなっちゃう。
そう思いながらゼリーを食べるユーザーはいないので、この時点でリアルなユーザーではない。
1と関連するのですが、主観や先入観を持て事象を捉えてしまうとなかなか本質的な課題発見に至ることはできません(先生からこの指摘を受けると、会場中には「しまった...」というどんよりした空気が流れていました。ハマりやすい落とし穴なのかもですね)


落とし穴3:目の前にいる人だけを「ユーザー」としてしまう

観察から得られた情報を整理。帰納法のように、個別の事象から問題点を導き出し、改善案のヒントを見つけ出します。
ここでありがち(というか私がそうだったのですが)「一部のユーザーしかイメージできていない」ということ。
特に今回、目の前の被験者役から情報を導きだしたのだけれど、これはあくまでいちユーザーでしかない。本質は、ある特定のユーザーにしか当てはまらない個別のものではなく、多くのユーザーの最大公約数としての性格価値・ニーズである。これを見つける必要があると。
例えば、会社で食べる人、自宅で食べる人、病院で食べる人。休憩時間に食べる人、食事時間に食べる人。などなど。まずは色々なユーザーを前提とし、その中から共通のインサイトを見つけなくちゃいけない。


まとめ

今回のセミナーを通して、人はとかく先入観で物事を見てしまう。また、(分かりやすいからか)モノにフォーカスして物事を見てしまう。それでは本質は捉えられないということを再認識(特にUI上の問題に目がいき、UX上の問題にたどり着けない)

そうならないように、まずは無心で対象を観察する。次に洞察を行い本質を捉える。文字に起こすと「そりゃそうだ」という内容ですが、言うは易しでトレーニングが必要だなと感じました。

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